――田村さん、先日の原宿での会食についてお聞きしたいのですが。
「……うん、なに?」
――あの会食は、引退を決意された田村さんを労ってのものだったとのことで。
「いや……僕が主演した『ニューヨーク恋物語』(’88年、フジテレビ系)ってドラマがあったでしょ。いまでもそのスタッフと、年に一度食事会をしてるの」
――では引退を決意されたというのは?
「うん……自分の中で、辞めてもいいかなと思ったんだよ。僕のことを気にかけてくれているスタッフがいてね。その人たちに今年の年賀状で『のんびりしたい。無職の日々が楽しみだ』って書いたの」
――田村さんの活躍を見られなくなるのは、ファンにとって寂しいニュースかと。
「自分としては、もう十分にやったなと。『眠狂四郎』は、20代で初めて出演して、40代、50代とやってきた。でも、2月の『The Final』では、
完成前の試写を見て『これじゃダメだな』と痛感したんだ。オンエアを見る気にさえならなかった。自分にしかわからない、『これはもうアカンな』という感覚……」
――それが引退という気持ちに繋(つな)がった。
「そう。長い時間かけて感じてきたことが、あの作品でハッキリした。でも、(引退を)大っぴらに言うのは趣味じゃないから。まあ、宣言してもいいんだけどね」
――もう田村さんの姿は見られなくなる。
「残念だけど、再放送を見てください。良い作品も、悪い作品もあるけど……」