吉永小百合の「過去・現在・未来」(12)「こんな小百合を観たかった」
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 あなたがこのままの状態で女優人生を終えるのは、あまりにも悲しい気がします。サユリストは不完全燃焼、欲求不満です。いい時を知っているだけにね‥‥。

 結婚してから、地元商店街のある店主が「あの人はいつも、いちばん安いものを買っていく」と証言していました。子供の頃の極貧生活を覚えているから、あんなに稼いでも、同じ商品でも安いものを手に取ってしまう。
倹約家が体に染み付いているんですね。それはかまわないと思います。だけど、つつましく、ばかりではつまらないでしょう。
演技も清純派だとか、神格化されたイメージだとかを引きずっていても、飽きられると思うのです。

 あなたは「百合の会」という、昔の映画スタッフが集まる同窓会のようなサークルを主宰しているけれど、そこにやってくるのは男性ばかり。なぜか女性は「入会」させたがりませんね。
ステキな女性が来たら、自分がかすむからなのかしら。やはりあなたは「女王」でいたいんでしょう。そういう気概を「意外性のある作品」でぜひとも見せてもらいたいと思っています。

中平まみ(作家)