プロパガンダ映画「キューポラのある街」

吉永さんが共産党シンパとして活動するようになってからは、一切の関連映画を見なくなった。
 狂っても共産主義に組するつもりはないからだ。
先日、JR川口駅近くに用事があり、20数年振りに「キューポラ(小型溶銑炉)のある街」に出かけた。
勿論、吉永小百合主演映画「キューポラのある街」の舞台であることは知っており、当時の名残りを探しつつ歩いていた。
 赤旗が揺れた川口駅前はスッカリ近代的に変貌し、軒を並べていた鋳物工場も数軒しか目に留まらなかったが、映画のラストで石黒ジュン姉弟が全力で駆け降りる川口陸橋辺りは当時の様子をハッキリ残していた。
 そして11月10日(日)夜は、チャンネル銀河で映画『キューポラのある街』が流れたことから、久々に観ることになった。_
 「キューポラのある街」の原作者・早船ちよは共産党員らしいが、この作品では、北朝鮮帰還問題、中小企業労働者の労働問題などを強調しており、
改めて、国民を特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った「プロパガンダ映画」だと知ることが出来る。

 この当時、日本共産党と「在日朝鮮統一民主戦線(後の朝鮮総連)」は一体となって、「地上の楽園(ユートピア)」北朝鮮体制の優位性を誇示する目的をもって演出した映画であろうか。

 脚本の今村昌平は生前、「『北朝鮮は天国のような大変良いところだ』とデタラメを書いてた」と反省したそうだが、
のちに保守に転向した黛敏郎は、この映画の音楽を担当しており、日本共産党が主導していた労働組合の歌声運動の推進者であったことも知られて面白い。
 映画では、石黒ジュンは職場見学で女工達の歌声(うたごえ運動)に感動し、就職して夜学に通うことを決意するが、後に小百合さん自身も早稲田大学の夜学に通ったことを彷彿させた。