プロパガンダ映画「キューポラのある街」
 女優・吉永小百合さんとは齢は違うが誕生月日が同じこともあり、誕生日を祝う番組や出演映画を眩しくも近親感をもって観ていたころもあった。
しかし、吉永さんが共産党シンパとして活動するようになってからは、一切の関連映画を見なくなった。
 狂っても共産主義に組するつもりはないからだ。(略)

11月10日(日)夜は、チャンネル銀河で映画『キューポラのある街』が流れたことから、久々に観ることになった。
 「キューポラのある街」の原作者・早船ちよは共産党員らしいが、この作品では、北朝鮮帰還問題、中小企業労働者の労働問題などを強調しており、
改めて、国民を特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った「プロパガンダ映画」だと知ることが出来る。
 この当時、日本共産党と「在日朝鮮統一民主戦線(後の朝鮮総連)」は一体となって、「地上の楽園(ユートピア)」北朝鮮体制の優位性を誇示する目的をもって演出した映画であろうか。
(略)
 映画では、石黒ジュンは職場見学で女工達の歌声(うたごえ運動)に感動し、就職して夜学に通うことを決意するが、後に小百合さん自身も早稲田大学の夜学に通ったことを彷彿させた。
ブルジョア育ちの小百合さんが、何時から共産党シンパに染まったかは知る由もないが、当時17歳とすれば、この映画づくりなどから感化され、徐々にピンクに染まり始めたとも見て取れる。
 確信を持って語った、「あっちは、いいんでしょ。北鮮は社会主義の国で、目ざましく発展しているらしいわね」、「一人が五歩進むより、十人が一歩進む方がいい」の決めセリフで自己暗示にかかったままなのだろうか。
 あれから約50年、今は、この映画や北朝鮮のことを、どう見ているのだろうか。
 川口駅前での北朝鮮への旅立ちの場面は、この当時の帰還運動の盛り上がりを知ることが出来るし、と同時に、この人たちが帰国した後の生活はどうなったのかと余計な心配をしてしまった。
 きっと、北朝鮮の実情など現地取材もしないで作られた映画であろうが、結果的には多く人を弄ぶことになる罪深い映画を作ったものだ。
 帰還運動では、約20年間に9万3000人(日本人妻約1800人)にのぼるとされるが、当時、純真無垢だった小百合さんも無意識のうちにピンクに染められた被害者の一人かも知れない。
 子供の頃の思想の刷り込みは怖いものだ。