オマエラ、寅さん映画の本質が分かってないな?
この映画は人情喜劇なんかじゃあないぞ。

山田洋次が仕組んだミステリー映画なのだ。

寅という男が親父とケンカして家を飛び出し、20年振りに帰って来たら…。

親父と義理母(寅は妾腹)と兄は死んでしまって、ダンゴ屋は叔父夫婦が継ぎ、腹違いの妹、さく
らを育てている。

20年のうちに三人が死に絶え、店を叔父夫婦が乗っ取っている!

これはミステリーだろう。

つまり、叔父夫婦が三人を次々と亡きものにして、寅に所有権のあるダンゴ屋を乗っ取り、なに喰わぬ顔で主人に修まっていた。

初代おいちゃんの森川信は、トボケた顔をしてるけど、実はとてつもない《悪》。

裏の印刷工場のタコ社長を仲間に引き入れて、三人を次々と…。
タコも共謀罪!

森川のおいちゃんがどのような手口で三人をやったか?

それを解明しないうちに主犯の森川は死んでしまった。

犯行の全容を知っているのはタコばかり…。

というミステリーなのだ。