吉永小百合−高齢化社会のアイドル−(1945〜)
f0107398_22431848.jpg吉永小百合について書くことを決めて、彼女の映画を何本みているか、あらためて調べたら、
「キューポラのある町」(1962)、「細雪」(1983)、「映画女優」(1987)の3本しかみていないことに気がつきました。
元々、彼女のファンでないこともありますが、ファンでなくてもみたくなるような後年に残る作品が殆どないことも一因でしょう。
彼女が50年前に主演した「キューポラのある町」がいまだに彼女の代表作として挙げられているということは、それ以降は日本映画史に残るような出演作が存在しないということです。
それにも関わらず、70歳近くになる現在まで彼女の人気は衰えず、CMの出演料も最高ランクだと聞いています。
テレビドラマ「夢千代日記」で共演した樹木希林が、
「あんたはいいねえ、悲しそうな顔をしてりゃいいんだから。こっちは演技しなきゃなんないんだヨ」
といったそうですが、悲しそうな顔をするだけで70近くになっても主役を張り続けているのは大したもので、目に見えないところで、もの凄く努力しているのではないかと思います。
ただ、その努力項目に「演技力の向上」という項目が入っていないだけのことで、なぜ入っていないかというと、
彼女は女優というよりはアイドルであって、女優ならともかくアイドルには演技力など必要ないということをよく知っているからでしょう。
それでも1983年公開の「細雪」では、義兄の石坂浩二に想いを寄せられていることを知りながら、何喰わぬ顔で義兄に足の指の爪を切らすふてぶてしいところのある三女の雪子を演じていて、
大根は大根なりに長年、映画に出演しているとこういう陰影のある役も演じられるようになるんだな、とちょっと見直したのですが、
その次の1987年に公開された「映画女優」をみて、そのあまりの大根ぶりにショックを受けました。