桝井省志氏×小川真司氏×川村元気氏「プロデューサーに聞く どこを目指し、誰と共にすすむのか」(vol.3)
2016年11月01日
桝井:すごくよくわかります。
ただ、昔から映画監督がそんなに撮りたいものを自分のなかにたくさん持っていたのかというと、
実際どうなんでしょうか。私は大映時代に相米慎二監督と二年ほどご一緒しましたが、
相米さんの中でどうしても撮りたい企画が山ほどあったとは思われませんでした。
失礼ながら、実は何もないのではないかと疑ったりしたこともありました。
それでも、その間に監督は公募シナリオから選んだ『台風クラブ』(85年)という本で傑作を生み出すのです。
映画監督って、撮りたいものがいっぱいあればいいというのともまた違う何かがあるのではないかという気がします。
だから、原作ものを映画化するというのは、
監督の持っている何かを引き出すという意味で、いい機会だとも思います。