つまり、この作戦、映画で描かれた、皇居占拠だけでは、何も出来るわけがないのである

翻って、阿南さんは、なぜ陸相官邸で泰然自若として座っていられたか
これは、阿南が前記の当たり前の戦略構想を読み切ってて、はねっかえりたちが事を起こす際に、キーとなるのは徹頭徹尾、東部軍しかありえないと判断
事前に東部軍に、絶対動くなと念を押しており、東部軍が動かない確証を得ていたからであろう

映画ではこの裏の動きをばっさり切ってるから、阿南さんが玉音を聞く前に未明にあんしんして腹を切った理由が分かりにくくなっている

東部軍が動かないことに不自然さを感じて、井田が逃げにかかったのは、たぶん14日のまだ夜の浅い時間

阿南のところで、お酌をしているだけに見える、竹下は陸相の腹を探りに来て、阿南が全部先手を打ってあることを察して、諦めてそこに座っていたに過ぎない

そう考えると、井田が畑中たちのところに来て、諦めろと説得に行ったのではなく、保身のために、決起部隊を自分が説得すると東部軍に申し出て、東部軍より先に、皇居に乗り込み、畑中たちに悪いようにしないと因果を含めて、畑中、椎崎を謀殺したと思われる

そうでないと、東部軍司令官が皇居鎮圧に乗り込んだ後、畑中、椎崎が拘束もされず、誰も見ていない状況で、皇居前広場で自決なんて無理な展開の描写になるはずがない