チャンネルNECOで鈴木秀夫監督『悪の階段』を観た。光の使い方がうまく、モノクロ
画面の良さが際立つ。あまりベストテンなどには登場しないし、忘れ去られた映画の
ようだが、和製フィルム・ノワールの傑作だと思った。ある会社の金庫からカネを盗
み出す話だが、犯人の4人の性格の描き分けがよくできているし、その後の仲間割れ
が映画の世界に引き込ませる。冷徹な首謀者山崎努と粗野な西村晃の演技がいい。映
画作りとしては安定感があり、ほとんど破綻のない良質な、もっと評価されてもいい
作品。