「東京家族」を観た。さすが山田洋次監督、観客を泣かすのがうまい!
観ている側はその術中にはまり、ヤマ場のたびに何度も涙をこらえることができなかった。
観る前は小津安二郎監督の「東京物語」の現代版リメイクと軽く考えていたが、観てみると
映画全体の印象はずいぶん違っていた。登場人物の名前も同じ、職業もほとんど同じ。セリフも
あえて同じにした箇所が多かったけれど、「東京物語」では家族の崩壊を描いているのに対し、
「東京家族」では「東京物語」時代以降、いつの間にかバラバラに暮らし、互いを理解できなく
なっていた家族の「家族としての再生」を描いている。その、監督の心優しい視点が、観る者に
涙を流させるのだろう。私は心地良い涙を存分に流してきた。