首都直下地震

死者は最大約7万人建物の全壊・全焼は約61万棟

政府の中央防災会議の作業部会(主査・増田寛也元総務相)は19日、マグニチュード(M)7級の首都直下地震が起きれば、最悪で死者約2万3000人、建物の全壊・全焼は約61万棟にのぼるとする新たな被害想定の報告書をまとめた。
 経済被害は約95兆円で、政府予算の一般会計総額に匹敵する。作業部会は「建物の耐震化や出火防止対策の強化で、被害を10分の1に減らせる」と分析した。政府は今年度中にも首都直下地震対策大綱を改定し、減災に向けた取り組みを進める。
 東日本大震災を受けて、2004年度の被害想定を見直した。震源が異なるM7級の首都直下地震を19パターン想定し、このうち首都中枢機能への影響が大きい都心南部直下地震(M7・3)の被害を算定した。
 都心の大半は震度6強で、江東区などの一部で震度7と予測。最も被害が大きいのは、火気の使用が多い冬の夕方だ。都心を囲むように広がる木造住宅密集地域で大規模な延焼が発生、四方を火災でふさがれて逃げ場を失う「逃げ惑い」で犠牲者が多く出ると想定した。
 その結果、死者全体のうち、火災による死者は最大約1万6000人となり、04年度の想定(約6200人)の2・5倍に増加。ただし、電気機器などからの出火防止や初期消火で犠牲者は約800人にまで減らせるという。
 人口が集中する首都圏では、地震から2週間後には避難所などで生活する被災者は約720万人に達する。また、自宅に戻れない帰宅困難者は最大約800万人に上る。
 M8級で、相模湾から房総半島沖で起きる関東大震災型の地震については、「当面発生する可能性は低い」としながらも、想定に加えた。もし現時点で起きれば、最大10メートルの津波が千葉県や神奈川県の沿岸を襲い、死者は最大約7万人、被害額は約160兆円と試算した。
(2013年12月20日00時15分 読売新聞)