>>194
「『狂った果実』という題名は映画の前年の80年に出たアリスの歌から取った」とされているが、
当然、プロデューサーの岡田裕や監督の根岸、脚本の神波は大昔の同名の裕次郎映画も意識してるよ。

50〜60年代は当時のボンボン学生を主人公にした日活映画が結構多かった。
それは「太陽族」としてカッコ良さと同時に露悪的に描かれる事もあったし(『太陽の季節』『狂った果実』など)、
あるいは当時の若者の「階層」格差の問題として描かれる事もあった(例えば『乳母車』
では裕次郎はバイト三昧の貧乏学生で、裕次郎と親しくなる芦川いづみは金持ちのお嬢様学生。
『あいつと私』も主人公の金持ち学生たちにはやや皮肉っぽい視点)

そこをひっくり返して「では金持ち学生でもない無学な若者の方から描いたらどうだろう?」
というのがこの映画でしょ?
要するに当時のにっかつ映画のメイン客層のひとつ「主演の蜷川有紀のグラビアでセンズリ
をコイてるような若者層」を主人公にして描く。

但しそれでこういう絶望的な映画にしてしまうのが良くも悪くも日本の映画屋さんなんだよね。
かといって映画館にわざわざ女の裸を観に来るような当時のにっかつの客層に具体的に
どういう映画を作ればいいのやら、、(まあ当時のにっかつにもライトコメディポルノ
みたいなのはあったけど、、)

これ当時の時点で「具体的に誰に向かって撮ってるのか?」既によく分かんなかったと思うよ。
まあ70〜80年代当時のにっかつ及び一般日本映画ってそういうのが多いんですが、、