昭和13年松竹作品。
『花形選手』と並んで清水映画の真骨頂とも言うべき卓抜な作品であり、
清水のオリジナル・シナリオ。
ひとりの按摩が温泉場でいわくあり気な美女に惹かれていく様と、
そこでの人々の交流をユーモアたっぷりに描く。
目の不自由な按摩役に二枚目俳優・徳大寺伸、若い女に昭和の大女優・高峰三枝子。
脇役には、名優・佐分利信、日守新一、爆弾小僧、坂本武、三浦光子、大杉恒雄など豪華キャストが出演。
名物按摩の徳市(徳大寺伸)・福市(日守新一)のふたりが新緑を連れて山の温泉場にやって来た。
ふたりは盲人でありながらも驚くべきカンの持ち主で、先を行く子供の人数や、男か女か、果ては職業までも言い当ててしまう。
ある日、徳市は温泉場で東京から来た女(高峰三枝子)に呼ばれる。
どこか陰があるこの女から、徳市は何かを怖れている気持ちを感じる。
そんな彼女に徳市は次第に惹かれていった。しかし、恋をしたことから徳市はその鋭いカンを鈍らせてしまう。
そんな中、周辺の旅館で次々と盗難事件が起こる。徳市は女が犯人だと思い込み、かくまおうとするが…。


出演
三澤美千穂 高峰三枝子
徳市 徳大寺伸
福市 日守新一
大村眞太郎 佐分利信
少年・研一 爆弾小僧
鯨屋主人 坂本武
番頭 二木連
女中・お菊 春日英子
女中・お秋 京谷智恵子
金造 油井宗信
亀吉 飯島善太郎
喜多郎 大杉恒雄

スタッフ
監督 清水宏
脚本 清水宏
撮影 斎藤正夫
音楽 伊藤宣二