0521この子の名無しのお祝いに
2012/06/04(月) 20:27:25.29ID:LeV1MNMi大島渚一派が「日本の夜と霧」事件の後に松竹を退社し、篠田も「乾いた花」をオクラ入りにされた後は自分の企画がなかなか通らなくなり、
「こんなことならもう退社してしまおうか。しかし、独立して個人プロダクションでやっていけるだろうか」と悩んでいたころの話。
篠田が道を歩いていたら、向こうから新藤が歩いてきているのが見えた。
彼はそれまで新藤と会ったことはなく、ただ雑誌などに載った写真で顔を知っているというだけだった。
「あ、あれは新藤兼人だ。どうしようか、挨拶しようかな」などと思っているうちに、二人の間の距離はどんどん近付いていく。
すると、何と新藤の方から足早に近寄ってきて篠田の前で立ち止まり、その目を見据えて、
「君、篠田正浩君でしょう? 君は松竹なんかさっさと辞めてしまいなさい。辞めるべきです!」と言ったという。
「その言葉で、僕の決心は固まった。初対面の大先輩の一言で、僕の人生は大きく変わった」と、
篠田はエッセイなどで何度も語っている。