>>339-340
確か、菊島隆三のエッセイで読んだんだけど、脚本執筆の為に旅館に館詰めになったら隣室が新藤だったと。
せっかくだからと自室に招いて晩飯を一緒に食べて少し酒も飲んで、「さて、お互い、寝る前に少し仕事しましょう」
ということで、新藤は自室に帰った。
菊島も仕事に戻ったんだが、古い日本旅館なんで、薄い壁の向こう、新藤の部屋から音が聞こえてくる。
それが、原稿用紙束(ノリ付けされている)から一枚づつを剥がす際のパリッ、パリッという音だったと。
新藤は、書き終えた分を剥がして、箱か何かにまとめておく習慣だったんだろう。
問題は、その音の間隔の短さで、菊島によると、とにかく絶え間なく、
パリッという音が聞こえたら数十秒後に又パリッという音がするという繰り返しだったという。
そして、翌朝、新藤が挨拶に来て、「仕事が終わりましたんで、私はチェックアウトさせていただきます」
と言ったとか。