坂田「この前、道郎に会ったろう?」
加納「はい」
坂田「あいつに怒られたよ。どうして早く、ミナケンやタケや若いもんを集めて、お前   に組を持たせねえんだって。どうだ?一家を張ってみる気はあるか?」
加納「親父さん、実は・・・」
坂田「足を洗おうかと思ってんだろ?」
加納「はい」
坂田「チャンスかもしれねえなあ。横浜も何だかキナ臭せえし、
   昔のようにはならねえし。なあ、秀。ひとつだけ頼みてえことが
   あるんだ。俺がポックリ逝った時の事だ。関西と戦争しようと言う奴、
   手を組もうと言い出す奴、後のことは俺は知らねえよ。
   そんなことは勝手にやればいい。ただな、そのゴタゴタの中に道郎を
   巻き込まないで欲しいんだ。あいつに言わせれば、お前と南だけが
   唯一信頼がおけるって言うんだ。あいつは血の気が多すぎる。
   でも、お前の言うことならちゃんと聞く。な、頼む。この通りだ。
   もう、斬った張ったは御免だよ。絵でも見てるのが一番だ。
   シャガールはいいよ、シャガールは。特に油絵は・・・
   ぜにかねじゃねえんだ・・・」