橋本忍 『複眼の映像 -- 私と黒澤明』

乱や影武者の失敗は、黒澤が編み出した共同執筆という形式を放棄し、
黒澤の独断で書いたため、である。


野村「黒澤さんにとって橋本忍は会ってはいけない男だったんです」

  「そんな男に会い、『羅生門』なんて映画を撮り、
外国でそれが戦後初めての賞などを取ったりしたから、
映画にとって無縁な、思想とか哲学、社会性まで作品へ持ち込むことになり、
どれもこれも妙に構え、重い、しんどいものになった」

橋本「しかし、野村さん、それじゃ、黒澤さんのレパートリーから『羅生門』、
『生きる』、『七人の侍』が?」

野村「それらはないほうがよかったのです」

  「それらがなくても、黒澤さんは世界の黒澤に。。
現在のような虚名に近いクロサワではなく、
もっとリアルで現実的な巨匠の黒澤明になっています」

  「僕は黒澤さんに二本ついたから、どれほどの演出力。。
つまり、力があるかを知っています。彼の映像感覚は世界的なレベルを超えており、
その上、自己の作品をさらに飛躍させる、際限もない強いエネルギッシュなものに溢れている。
だから。。。いいですか、よけいな夾雑物がなく、純粋に。。
純粋にですよ、映画のおもしろみのみ追求していけば、彼はビリーワイルダーにウイリアムワイラーを足し、
2で割ったような監督になったはずです」

「ビリーワイルダーより巧く、大作にはワイラーよりも足腰が強靱で絵が鋭く切れる。
その監督がどんな映画を作るのか。。橋本さんにもわかるはずです。。。
文字どおり掛け値なしの、世界の映画の王様に

映画『乱』の試写会。橋本忍は、焼け落ちる城から、白髪を逆立てた幽鬼のような老人
(リア王〜仲代達矢)がふらふら出てくるのをみて、口の中で声をあげた。この老人が黒澤明に見えたのだ。

NHKのメーキングフィルムをみると、黒澤はスタッフや俳優をどなりまくっている。

「きみは下手なんだから、端っこにいろ!真ん中に出てくるんじゃない!」 

聴くに堪えない罵詈雑言である。私が俳優だったら監督を殴り倒してオサラバするだろう。
http://furuido.blog.so-net.ne.jp/2008-05-05

西部劇しかわからないアホが世紀の巨匠と煽てあげられるからこういう末路になるのさ.