浪花千栄子の陽気な残酷さ(極限のリアリスト!)が遺憾なく発揮された
「浪花の恋の物語」名セリフ集

(その1)
忠兵衛(中村錦之助)と梅川(有馬稲子)のいる座席へやってきた遣り手のおえん(浪花さん)
「開けまっせ。あのー、実はな、(梅)川さんに身請けの話が持ち上がってきてまんねん。
へ、それでえらいすんまへんねけどな。さきほどいただきましたお足、お返ししてこいと
内証から言われましたんでんねん。へえ、お大尽とお話が決まりました以上は廓の義理と
いうもんがおましてな。祝言すむまで川さんの体をどうしてもきれいな体にしとかんなりまへん
のでんねやがな。……川さん、そらまたいったい何の真似や。ぼんぼんぃな、
川さん玉の輿に乗るんどっせ。よう心汲んであげて、男らしゅうスッパリと祝うて
あげまひょいな」

 なおも食い下がる忠兵衛に
「そんなこと何ぼ聞いたかて同じことですがな。花魁は売りもんに買いもん、
自分の思うたようになりまっかいな」