3月6日(月) 後8:00〜9:30
ハイビジョン特集 はるか故郷を離れて 中国映画を育てた日本人たち

中国で映画が制作されてから100年目の今年12月、北京で映画博物館がオー
プンする。その中で、戦後の中国映画の基礎を築いた日本の映画人たちの存在
が初めて公にされることになった。戦後8年間に制作された中国映画の中で、
日本の映画人が関わった作品(日本未公開)は、実に30本にのぼっている。彼
らは、かつて東洋一の規模と最先端の映画技術を誇っていた満映(満州映画協
会)所属の映画人たちであった。敗戦とともに中国共産党の支配下に入った満
映では、内田吐夢監督ら多くの映画人が、新しく設立された東北電影制片所に
参加する。敗戦後の混乱を生きるための苦渋の選択だった。日中映画人の協力
関係は 1953年まで続いたが、日本人の存在は中国社会において長くタブーと
され、最近まで公にされることはなかった。当時、安芙梅の名前で多くの作品
を編集した岸富美子が今年10月、中国を訪れる。日中の映画人たちは、戦争
による確執を乗り越え、いかにして中国映画の基礎を築いていったのか。番組
では、岸の中国訪問を軸に、生き残っている日中双方の映画人の証言、日本未
公開の作品などを駆使しながら、数奇な運命をたどった映画人たちの戦後のあ
ゆみを掘り起こす。