(承前)

研究室1期生の西塚泰美(やすとみ)・元神戸大学長は、細胞の内部に情報を伝える役割を担う酵素「プロテインキナーゼC」を発見し、
ノーベル賞の登竜門とされるガードナー国際賞やラスカー賞、ウルフ賞を立て続けに受賞。
ノーベル賞の期待が高まっていたが、04年に72歳でこの世を去った。

本庶さんの学生時代の同級生で、脳神経科学の研究で国際的に高い評価を受けている
サントリー生命科学財団生物有機科学研究所長の中西重忠さん(76)や、
細胞の自殺と言われる「アポトーシス」の研究で名高い大阪大免疫学フロンティア研究センター教授の長田重一さん(69)も、早石さんの薫陶を受けている。

こうした精鋭の中で、本庶さんは早石さんが率いた京大の研究室「医化学第1講座」を直接引き継ぎ、後継者とも言える存在だった。
若いころから免疫の分野で世界をリードし、1980年代からノーベル賞の有力候補と目されてきたが、受賞までには時間を要した。