細胞の仕組みから放射性物質の影響を考える

○細胞の仕組み概要
・DNA(遺伝子)
多くの種類のたんぱく質の製造方法をまとめたもの、たんぱく質設計書の図書館

・RNA(tRNA)
DNAから 1種類のたんぱく質の設計書をコピーしたもの、たんぱく質設計書

・リボソーム … たんぱく質の製造工場
RNA からたんぱく質を合成するもの、たんぱく質製造工場、稼動にはATPが必要

・分子シャペロン(別名:HSP、熱ショックたんぱく質)… 注目
たんぱく質のお世話をするたんぱく質の総称、他のたんぱく質の形を整えたり、分解したりする(要ATP)

・その他のたんぱく質
細胞内でさまざまな機能を発揮する、ただし機能を発揮するには正しい形で居ることが必要
温度変化等(放射線含む)で変な形になってしまうことも多い

・ミトコンドリア … ATP(細胞のエネルギー源)の製造工場
人間とは別の遺伝子を持つ、細胞内で共生する存在
細胞で作られる ATP の 90% 程度がミトコンドリア製ともいわれている
ミトコンドリアの DNA から作られるたんぱく質のいくつかは、合成のためにタウリンを必要とするものもある
十分なタウリンでミトコンドリアの増殖あるいは稼動に必要なたんぱく質の合成を促した状態で
クエン酸、ビタミンB1,B2,B3 などの触媒が十分にあれば、糖や脂肪をスムーズに ATP にしてくれるだろう

○放射線の影響について考察
α線、β線が細胞内を通過した場合、たんぱく質にストレスがかかり変形を促す
変形したたんぱく質は機能を喪失、時に有害なものに変わる

重金属が1分子のたんぱく質を壊すとすると、放射線はその何倍ものたんぱく質を壊すだろう
原子核同士の電気的なつながりを切断するのに 4〜5eV ( eV はエネルギーの単位で電子ボルト)
トリチウムの放射線(β線)の持つエネルギーが 5000eV 程度と言われているから
トリチウムでも重金属の1000倍程度の数のたんぱく質分子を壊す可能性がある

ストロンチウム90ではβ線のエネルギーが最大で 2MeV = 200万 eV といわれ
重金属の50万倍程度の影響を与える可能性がある
なお、ストロンチウム90の場合は崩壊後のイットリウム90もβ線を出す
一つの原子核から複数の放射線が出る場合、足し合わせた影響で考える方が実態に近くなるだろう