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使徒教父文書 荒井献[編] 講談社文芸文庫

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ポリュカルポスの殉教                       田川建三訳  

(序)
 スミルナ(現代のトルコのイズミール)に寄留する神の教会よりフィロメリウムに寄留
__________________________カトリック
する神の教会へ、またすべての地に寄留している、聖なる正統なる教会に属するすべての
方々へ。
 父なる神および私達の主イエス・キリストの憐みと平安と愛とがみちみちますように。

(殉教について 第1章1節−2章1節)

一 1 兄弟達。あなた方に私共は殉教者がたについてのことを、そしてまた至福なるポ
リュカルポス様のことを書き送ります。ポリュカルポス様はその殉教によって、いわば迫
害に封印をなさり、迫害(の嵐)を終らせなさったのでした。この過ぎ去った出来事のほ
とんどすべてが、主(キリスト様)が私達に再び、福音にかなった殉教(とはどういうも

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のであるか)をお示しなさるために、生じたことなのでありました。2 何故なら、主御自
身がそうなされ給うたのと同じように、ポリュカルポス様もまた逮捕されることを待って
おいででした。それは、私達もまたそれにならう者となって、自分自身のことだけを考え
ず、隣人のことをも考えるようになるためなのです。自分自身だけが救われようと欲する
のではなく、すべての兄弟達が救われるようにと願うのは、真の深い愛より出ることであ
りますから。
二 1 神様の御旨に従って生じた一切の殉教は至福なもの、高貴なものであります。私
達がますます信仰的であろうとするならば、一切のことに対する権威を神様に帰するべき
ですから。

(殉教者の高貴さ 2章2−4節)

 2殉教者の高貴さ、忍耐強さ、・・・、・・・。