『法華経』常不軽菩薩品には、何事に対しても常に敬う心も持つことが説かれています。
遠い昔に常不軽菩薩がいて、どんな人に対しても「あなたは仏さまです」と言って、誰もが仏様と同じ尊い存在であると礼拝しました。
常不軽菩薩は石を投げられようが、杖で叩かれようが、信念をもって礼拝し、仏教を弘められました。

一人ひとり、一つひとつは個性や違いがありますが、誰にでも仏性があるとことは平等です。それぞれの存在が大事であり、尊いもので、
何一つとして切り捨てられるべきものはありません。また、自分の考えや行動があらゆるところに関わっており、それぞれが世界(法界・全体)の
一員としてお互いに必ず影響を及ぼしているのです。

私たち人間は一人では生きていけません。人と人の間にいる、苦と楽の間に、善と悪の間に、あらゆるものの間にいるから人間なのです。
だからこそ、自分だけがよければいいという考え方ではなく、常に周囲や全体のことを考え、行動しなければなりません。
自分が生きているということは生かされていることで、みなのことも生かさなければならないというふうに、満遍なく関係し合っているのです。

これはさらに山も川も草も木もすべて平等に同じ命を生きているという山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)という日本仏教独特の思想に発展してきました。