>>229
「ヴァジラー経」(『相応部』5-10)

ときに、ヴァジラー比丘尼が…アンダ林へ入って、とある木の根元で昼住をなすべく坐った。

そこに悪魔が、ヴァジラー比丘尼に恐怖、硬直、身の毛のよだちを起こすことを欲し、禅定より退かせることを欲して、ヴァジラー比丘尼に近づいた。
近づいて、ヴァジラー比丘尼に偈をもって語りかけた。

♪どのような場合に有情は生起し、どのような場合に有情は滅するのか」と。

ときにヴァジラー比丘尼に、この〔思い〕が起こった。
「偈を発しているこの者は何者だろうか。人か、人ならざる者か」と。
ときにヴァジラー比丘尼に、この〔思い〕が起こった。

「これは悪魔で、私に恐怖、硬直、身の毛のよだちを起こすことを欲し、禅定より退かせることを欲して偈を発しているのだ」と。

そこでヴァジラー比丘尼は、「この者は悪魔である」と知って、悪魔へ諸偈を発した。

「♪何を『有情だ』と信じているのか。悪魔よ、そなたには悪見がある。
♪これは単なる諸行の集積であり、ここに有情は得られない。
♪あたかも、部品の集起より『車』という語がおこる、
♪そのように、諸蘊があるとき、『有情』という仮名がおこるのである。
♪苦なる〔諸蘊〕のみが発生しているのであり、また苦なる〔諸蘊〕が持続し、消失しているのである。
♪苦なる〔諸蘊〕以外のものが発生しているのではなく、苦なる〔諸蘊〕以外のものが消滅しているのではない」

そこで悪魔は「ヴァジラー比丘尼は私を知っているのだ」と苦しみ、落胆し、そこから消失した。

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これが魔境だろうか?