ヨハネ伝は多くの部分でグノーシス的色合いの強い記述があるものの、ストーリーの根幹は贖罪論に一致しており、
その一致は既に流布されていた共観福音書が強く意識され、かつ多分対抗心すら持って証言力を創作したものだろう。
イエスの復活描写においてこそ、その傾向は最も顕著であろうものと思う。

ヨハネ伝の登場は、当時パウロ系正統派と拮抗した勢力であったグノーシス派にとって大いなる打撃であった。
イエスの奥義を追及するグノーシス派への最大の一撃を与えた福音書がヨハネ伝であると思っている。