その僕が出て行くと、百デナリを貸しているひとりの仲間に出会い、彼をつかまえ、首をしめて『借金を返せ』と言った。

そこでこの仲間はひれ伏し、

『どうか待ってくれ。返すから』と言って頼んだ。

しかし承知せずに、その人をひっぱって行って、借金を返すまで獄に入れた。

その人の仲間たちは、この様子を見て、非常に心をいため、行ってそのことをのこらず主人に話した。

そこでこの主人は彼を呼びつけて言った、

『悪い僕、わたしに願ったからこそ、あの負債を全部ゆるしてやったのだ。

わたしがあわれんでやったように、あの仲間をあわれんでやるべきではなかったか』。

そして主人は立腹して、負債全部を返してしまうまで、彼を獄吏に引きわたした。

あなたがためいめいも、もし心から兄弟をゆるさないならば、

わたしの天の父もまたあなたがたに対して、そのようになさるでしょう」。