ヴァッチャは、仏陀に対し、このように尋ねた。

「ゴータマよ、仏陀の、在家の信者の中で、
在家の束縛を切らず、涅槃に赴く者が居るか。」
「在家に居て、涅槃に赴く者は、一人も居ない。」

「ゴータマよ、仏陀の、在家の信者の中で、
在家の束縛を切らず、天界に赴く者が居るか。」
「在家に居て、天界に赴く者は、五百を越える。」

「ゴータマよ、異教の、外道の信者の中で、
外道の束縛を切らず、涅槃に赴く者が居るか。」
「外道に居て、涅槃に赴く者は、一人も居ない。」

「ゴータマよ、異教の、外道の信者の中で、
外道の束縛を切らず、天界に赴く者が居るか。」
「外道に居て、天界に赴く者は、一人だけ居た。」

「ゴータマよ、それでは、その異教の法は、
天界に至るまでは、正しいと言えるのですか。」
「ヴァッチャよ、その法は、天界までは正しい。」

これを聞いた、ヴァッチャは、歓喜し実践した。

「中部経典ヴァッチャ三明経」