試(こころ)みに挙(こ)す看(み)よ。
本則
三聖、雪峰に問う、「網を透る金鱗、いぶかし何をもってか食と為さん?」。
峰云く、「汝が網を出で来たらんを待って、汝に向かって道(い)わん」。
聖云く、「一千五百人の善知識、話頭もまた識らず」。
峰云く、「老僧住持、事繁し」。
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注:
三聖:三聖慧然、臨済義玄の高弟。
法系:六祖慧能→南嶽懐譲→馬祖道一 →百丈懐海→黄檗希運→臨済義玄 →三聖慧然
雪峰:雪峰義存禅師(822〜908)。
法系:六祖慧能→青原行思→石頭希遷→天皇道悟→龍潭崇信→徳山宣鑑→雪峯義存
網を透る金鱗:どんな網にもかからぬすばらしい魚。悟りを越えた自由自在な人。
一千五百人の善知識、話頭もまた識らず:一千五百人もの修行僧を指導する大宗匠(雪峯義存)が問答の仕方もご存じない。当時雪峰山には千五百人もの修行僧が集まっていたという。
老僧住持、事繁し:私は寺の仕事が忙しいので、これで失礼。
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本則:
三聖慧然が雪峰義存に聞いた、「悟りを越えた自由自在な人は毎日をどのように過したら良いでしょうか?」。
雪峰は云った、「まず網を出で来なさい。そうしたら、お前さんに言おうよ」。
三聖は云った、「千五百人もの修行僧を指導する大宗匠が問答の仕方もご存じないとは驚きだ」。
雪峰は云った、「わしは寺の仕事が忙しい。これで失礼」。