碧巌録(へきがんろく) 第33則? 陳操看資福 (?陳操尚書、資福に看 (まみ) ゆ)  
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垂示:
東西弁ぜず南北分たず。
朝より暮に至り暮より朝に至る。還って伊れカッ睡(かっすい)するといわんや。
あるときは眼、流星に似たり。還って伊れ惺惺(せいせい)といわんや。
あるときは南を呼んで北となす。しばらくいえこれ有心かこれ無心か。
これ道人かこれ常人か。
もし箇裏に向って透得して始めて落処を知らば、まさに古人の恁麼不恁麼を知らん。
しばらくいえ、これなんの時節ぞ。
試みに挙す看よ。
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注:
カッ睡(かっすい):いねむり。
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垂示の現代語訳
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東西や南北などの方向も分らない。
朝から夜に至り、夜から朝に至るまで日が暮れたのか、夜が明けたのかも分からないようにボーッとして暮らしている。
一見愚人に見えるが、彼は眠っているのだろうか。そうかと思うと、ある時は流星にも似た鋭い眼光で見ている。
彼は本当は何もかもハッキリと分かっているのだ。では偉いのかと思うと南を北と呼ぶような常識外れのことをする。
彼は本当は有心なのか無心なのか。常識を超えた道人なのだろうか、ありふれた平凡人なのだろうか。
もし、人が悟りの境地に到って、これが禅の本質の処なのかと納得できた時に、古人の出来・不出来をよく知ることができるだろう。
さて、そのようなとぼけた達人がいただろうか。
試みに例を挙げるので参究しなさい。