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試(こころ)みに挙(こ)す看(み)よ

本則

修業僧、大隋法真禅師に問う、「劫火(ごうか)洞然として、大千ともに壊(え)す。未審(いぶか)し、這箇(しゃこ)、壊するか、壊せざるか?」。
隋云く、「壊す」。
僧云く、「いんもならば他に随い去るや?」。
隋云く、「他に随い去る」。
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注:
大隋:大隋法真禅師(834〜915)。百丈懐海の法孫に当たる。
法系:六祖慧能→南嶽懐譲→馬祖道一→百丈懐海 →長慶大安→大隋法真
劫火:古代インドの世界観では宇宙は成(生成)・住(保持)・壊(壊滅)・空(無)の四期間を
周期的に繰り返し変化すると考えた。地球も壊(壊滅)の時期になると、大風が吹き、大洪水起こり、
太陽が七つも現れ、終末火災である劫火によって壊滅すると考えた。
大千:三千大千世界。三千大千世界は須弥山説に基づいている。
須弥山説は古代インド人の考えに仏教的教理を加味して出来上がった世界観である。
(アビダルマ仏教の世界観と三千大千世界を参照)。
洞然:世界の終末火災である劫火によって激しく燃えるさま。
這箇(しゃこ):心の本体、仏性。
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本則:
大隋法真禅師にある僧が聞いた、
「この世界が終りを迎える時、 劫火が激しく燃えて破滅すると言われます。 その終末の時、我々の心の本体は一体破壊されてしまうのでしょうか、 或いは、破壊されないでしょうか?」。
大隋は言った、「破壊されてしまうよ」。

僧は聞いた、「そうなら、世界が滅亡する時一緒に滅亡するのでしょうか?」。
大隋は言った、「そうだ、世界が滅亡する時一緒に滅亡してしまうよ」。