碧巌録(へきがんろく) 第70則? 百丈咽喉唇吻 (ひゃくじょう  いんこうをへいきゃく)

挙(こ)す
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イ山霊祐、五峰常観、雲巌曇晟、同じく百丈懐海に侍立(じりつ)す。( そばに立って控えている)
百丈、イ山に問う、「咽喉(いんこう、のど)と唇吻(しんぷん、くち)を併却して、そもさんか言わん?」。
イ山云く、「却(かえ)って請(こ)う和尚言え」。
丈云く、「我(われ)汝(なんじ)に言うことを辞せざるも、己後(いご)我が児孫(じそん)を喪失することを恐る」。

?山(いさん)・五峰(ごほう)・雲巌(うんがん)、同じく百丈(ひゃくじょう)に侍立(じりつ)せり。
   百丈、?山に問う「咽喉唇吻(いんこうしんぷん)を併却(へいきゃく)して、作麼生(そもさん)か道(い)わん」
   ?山云く「却(かえっ)て請う、和尚 道(い)えよ」
   丈云く「我 汝に向かって道うことを辞(じ)せざるも、おそらくは巳後(いご)、わが児孫(じそん)を喪(うしな)わんことを」

イ山、五峰、雲巌三人の兄弟弟子が師の百丈のそばに侍していた頃のある時、
百丈は、一番兄弟子のイ山に問うた、 「のども口も使わないで、「未だ一念が起こる以前の消息」をどのように説明できるだろうか?」
するとイ山は云った、「まず、和尚から言って下さい」。
百丈は云った、「わしが言おうとすれば言えるが、そうすると将来法(禅)が衰えるからだめだ」。
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【本則】百丈山の禅林であった一日の問答話をあげる・・擧す。
霊祐、常観、曇晟の三人が、師の前に起立した。
百丈が?山に問う、「顔無し(口や舌や唇なし)で、如何に、禅を語れるか」
?山云く「師よ、まず師が、その模範をお示しください」
百丈云く「ヤレと言われりゃ、やらぬでもないが・・やって見せれば、この世から「禅」が消滅。禅者が断絶してしまうので、やる訳にはいかないのだよ」

⇒ 口や、舌や、唇が無く、真理を語れ。
  棒とか喝とか昔のお師家さまは老婆親切だったのだが、
  わたしはいま腹が減ってるので、お茶を飲む。