好雪片片不落別處(こうせつ へんぺん べっしょに おちず)

『碧巌録』第四二則「?居士好雪片片」
舉。
?居士辭藥山。
山命十人禪客。
相送至門首。
居士指空中雪云。
好雪片片不落別處。
時有全禪客云。
落在什麼處。
士打一掌。
全云。
居士也不得草草。
士云。
汝恁麼稱禪客。
閻老子未放汝在。
全云。
居士 作麼生。
士又打一掌。
云眼見如盲。
口説如唖。
雪竇別云。
初問處但握雪團便打。

挙す。
?居士、薬山を辞す。
山、十人の禅客に命じ、相送りて門首に至らしむ。
居士、空中の雪を指して云く、好雪片片別処に落ちず。
時に全禅客ありて云く、什麼の処にか落在す。
士打つこと一掌。
全云く、居士また草草なることを得ざれ。
士云く、汝恁麼に禅客と称せば、閻老子いまだ汝を放さざること在らん。
全云く、居士 作麼生。
士また打つこと一掌、云く、眼は見るも盲の如く、口は説うも唖の如し。
雪竇別して云く、初問の処に、ただ雪団を握って便ち打たん。

?居士が薬山禅師の所を辞すとき、薬山は十人の禅客に見送りを命じ門前に来た時、居士は降る雪を指して好雪片片別処に落ちずと言った。
そのとき全という禅客が、ではどこに落ちるのか、と尋ねたら、居士に平手打ちで一発叩かれた。
そんなにあわてて叩かないでと全が言うと、居士は、お前はそんなことで禅客などと言っていると閻魔様が許さないぞ、と言うと、全は、では居士ならどう答えますか、と聞いた。
居士はまた一発叩いて、眼は見ていても盲同然、口は喋っていても唖同然だ、と言った。



一の如し、である。