すべては究極的には非実在 (unreal) である。
したがって、世界に関するすべての合理的理論は、「非実在の思想家」が「非実在の思考」によって展開した「非実在のことにかんする理論」である。
このような論理によって、空が究極的リアリティであると説く中観派の思想でさえも非実在であると言えるが、そういう中観派の思想への反論自体もまた非実在であることになる。
このようにして、それは無限遡及をつづける。

コロンビア大学のW.T.ド・ベリー教授『インド、中国・日本の仏教伝統』