アンドロメダ銀河見聞録
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地球でお亡くなりになった方々が、アンドロメダ銀河で新しい生活を始めているという想定のSFです。
アンドロメダ銀河には地球で生存している方々は自由に往来が可能です。
ただし、お亡くなりになられた方々は、地球に帰還できないという設定です。 犬の散歩してる人を見ると
自分の自由時間が減って嫌だなと思う 藤圭子さんと水森かおりさんと女王石川さゆりさんが長話をしている。
お嬢と裕次郎さんと赤木圭一郎さんとお千代さんでお話し中です。
青江三奈さんと都はるみさんと星猫と銀河猫とで話をしている。
私は、女王石川さゆりさんの隣に座って聞き役に回っていた。
藤圭子さんって、こんなに話し上手だったんだ。
結構、周りを笑わせている。
藤圭子さん「私たちのことって地球に届いているのかしら?」。
私「週刊分春なんかが時々書いてるね。」。
藤圭子さん「そういえば、前に週刊誌の取材がありました。面白いですね。」。
私「週刊誌はどこにでも飛んできますよ。」。
女王石川さゆりさん「私も地球に帰ったら書かれるかしら。」。
青江三奈さん「私も都はるみさんに付いて地球に帰りたいね。」。
都はるみさん「ほんとに、連れて帰りたいわ。」 私は、水森かおりさんに「ご当地ソングで、「アンドロメダ慕情」を出してくれませんかと言ってみた。」。
水森かおりさん「面白いですね。」。
230万光年地球を後にして
アンドロメダ銀河のバルジめがけて 飛んで見る
ここは異郷の星の中
進化の波濤乗り越えて
千の文明競い合う
水森かおりさん「はっはっは、良いですねー。」。 カラス型ドローンがテーブルに止まったので、私は、藤圭子さんの「浅草しぐれ」をリクエストしてみた。
カラスは、「あなた、切れるね」と言った瞬間、伴奏が始まった。
意味不明なことを抜かすカラスだ。
詩をなぞって歌うだけの歌手とは完全に異なる。やはり、異次元歌手だ。
藤圭子さんも口ずさんで歌っている。
いつもの明瞭で澄んだ声、ハイスペックの余韻が長く続く。
果たして、これが地球人の歌だろうか?
私には、どうしても、スーパーマシンが作った歌声のように感じてしまう。
完全無欠、やり過ぎだ。どこかに人間らしい欠点を残して欲しかった。
藤圭子さんは、歌手用に作られたアンドロイドではないかと思うときがある。
私は、藤圭子さんの方を見つめていた、彼女も気付いて微笑んでいる。
あっ、やぱり地球人だ。 島津亜矢さんが、カラスを読んでいる。
泣いているのか喜んでるのか分からない声を上げてカラスが飛んできた。
亜矢さんが、アイスクリームを食べる人は挙手してと言っている。
全員が挙手して、カラスがうなずいて飛んで行った。
注文は、カラスを呼ばないでもテーブルのディスプレイがらできるのだが、カラスを呼んだほうが面白いのだ。
アンドロイドとカラスがアイスクリームを運んできた。
カップに入った地球仕様のアイスクリームで、この星の果物がトッピングされている。
カラスは、また偉そうに都はるみさんの肩に止まって、はるみさんの髪を勝ってに柵っている。
こんな遠い宇宙の辺境でアイスクリームを食べれるとは思わなかった。
甘さ控えめで、なかなか良い味である。
銀河猫が、下に降りて海に沈む2つの夕陽を見に行きましょうかと、言った。
女王石川さゆりさんが、見に行きたいです。
お嬢やお千代さんも賛成した。 スターバックスの支払いは、島津亜矢さんが全宇宙共通のクレジットカードで支払いを済ませた。
店を出て、降りるシャトルのホームに入ったが、カラスは都はるみさんの肩に止まったままだ。
都はるみさん聞いてみた。
カラスは下のスターバックスに行くそうだ。
反重力船で降りるので、大気圏突入のような危険は全く無い。
水平線の向こうに1つ目の太陽が沈むところだ。
地上のプラットホームに着地した。
お台場の西の海岸沿いの公園まで空中バスで移動した。
海の景色は地球とはかなり異なる。
2つの太陽に、3つの月、夕空も地球のような寂しさを感じさせない。
ここは地球ではないと、いやでも気付かせる風景である。
なんで、私たちがこんなアンドロメダ銀河の辺境惑星に居るんだろうと、ふと思もった。
青江三奈さんが、ここの夕陽は綺麗でしょう、と言った。
星猫が、良いな、こんな景色をいつも観れるのは羨ましい。
お嬢も遠い眼差しを夕陽に投げかけていた。
何にか、物思いに耽だているようだった。
その横顔がたまらなく美しかった。
お千代さんも涙ぐんでいるようだった。
カラスも感情があるらしく、都はるみさんの肩に止まったまま、はるみさんの顔に身体を寄せている。 私は、島津亜矢さんの横によって見た。
彼女の横顔が夕映えを受けて、その童顔を輝かせている。
こんな子供のように見える娘が、演歌を歌わせれば聴衆を酔わせるのか。
そうか、お嬢も小さいときはこんな感じだったのか。
裕次郎さんと赤木圭一郎さんが煙草吸っている。
紫煙越しに見える夕陽は地球のようでもある。 2万トンクラスの客船が関門を通過して、本船航路を外れ客船バースに向かっている。
双眼鏡で船名を見ているのだが字が読めない。
明らかに、宇宙船だ。宇宙も海も航行できるタイプだろう。
私は、カラスに、「どこの客船か見てきてくれ」、カラスは、一鳴きして客船目指して飛んで行った。
藤圭子さんが、「私は、あんな感じの宇宙船でここにきましたよ。」。
青江三奈さんも、「そうそう私が来たのもあんな宇宙船でした。」。
カラスが帰ってきた、「あの船は、地球とアンドロメダ間の定期便です。」。
「船名は、アースメダです。地球で亡くなられた方が800人、生存中の方が1100人乗船しています。」。
「船長はアンドロメダのイルカ星人です。」。
カラスが、「船から発光信号です。」「船長からです、地球のスーパースターと夕食をご一緒したいので、本船までお越しください。歓迎いたします。」です。
裕次郎さんが、「みんなで行こう」。
私は、カニラスに、「お伺いします、と返事して来い。」。
カラスは、スターバックスのマザーコンピューターを利用して、船名から無線局のコールサインと運用周波数、電波形式、を引っ張りだした。
インターネットから衛星の無線設備で船をコールしている。
何度呼び出しても、船からのコールバックが無い。
カラスは首をかしげている。 カラスは、私に、「何で応答しないんだろう」。
私は、しばらく考えこんでいると、都はるみさんが来て、
「昔、船員さんに聞いたんだけれど、船が港に着いたら船の無線はシャットダウンしないといけないんだって。」。
あー、そうか、電波法か。しかし、アンドロメダでもそんなことになっているのか。
銀河間ネットワークの時代にそんな法律がまだあったのか。
カラス、すぐに衛星ネット経由で船とコンタクトをとった。
船のセクレタリーと話し合っている。
反重力タイプのシャトルで迎えに来てくれるそうだ。
さすがに、豪華客船だな。 私は、客船の方を双眼鏡で見ている。
船の後部甲板のエレベーターがせり上がりシャトルが姿を現わした。
真っ白に塗られた船体に並行して赤いラインが入っている。
翼は無い、尾翼というものも無い。大気圏内飛行という考えは無いようだ。
反重力推進なのでそんものは必要ないのだろう。
100メートルぐらい垂直に上昇して、機首をこちらに向けて飛行してくる。
カラスが搭乗員と交信しているが、シャトルはもう私たちの頭上にきていた。
結構大きい。公園の広場に着陸した。私たちはシャトルの方に歩いて行く。
フライトアテンダントが搭乗口に出てきて、搭乗案内をしてくれる。
私たちは、思い思いの座席に着席した。シートベルトが無い。
反重力船では、加速、減速に重力の増減は感じないのだろう。
全員が着席したのを確認して、船は上昇した。 シャトルのフライトアテンダントはウサギ星人だ。
5分も飛ばないうちに本船の上空だ。大きい船だ。
格納エレベーターの上に着陸して、そのまま格納デッキに降りた。
アンドロイドの案内で客室エリアまで歩き、乗客用エレベーターで12階に上がった。
広い廊下を抜けると、賓客用の宴会場に出た。
副長が待っていて、テーブルへの着席を促した。
副長は翻訳機をつけて、「地球からの長旅の方もおられてお疲れ様、後で船長も来ますのでゆっくり食事とお酒を楽しんでください。」。
副長も前の席に座って、食事を始めた。
一行を代表して裕次郎さんが「この度は、こんな立派な豪華客船にお招きくださいましてありがとうございます。」。
副長、「遠慮なさらずにどうぞごゆっくり。」。
料理は、地球仕様ですが、材料はこの星のものです。
副長が自己紹介を始めた。「自分は、猫星人で36歳です。住所地は地球の火星サベナシティにあります。」。
「月に2回ぐらい火星に帰ります。」。
そのとき、船長とセクレタリーが入ってきた。
船長は地球の木星人で、やはり火星に住所があるそうです。
私たちも、それぞれ簡単に自己紹介を行った。 一番最後の自己紹介はカラスで、「私は、地球のスターバックスで生まれました。この星に来て頭は大手術を受けてアップデイトしています。」。
「この星仕様になっています。」。
食事が終わって、雑談タイムになっている。
船長は挨拶をして席を立った。カラスが都はるみむさんの肩から、島津亜矢さんの肩に飛び移った。 副長も退席するようだ。「皆さん、今晩は部屋を用意していますので船に泊まっていって下さい。
船長の接待費で処理しますので、ごゆっくりしていって下さい。」。
セクレタリーが「部屋へは顔認証で入れます。部屋番号はラインで送っておきました。」。
それでは、私も退席させていただきます。みなさまはごゆっくり。」。 カラスは、島津亜矢さんの部屋に泊めてもらうように話がついたようだ。
水森かおりさん、島津亜矢さんは、この船で地球に帰るそうです。
帰っても、リアルタイム立体動画でこちらを訪問するそうです。
都はるみさんと、女王石川さゆりさんはもうしばらくアンドロメダにいます。
銀河猫と星猫とが同じ部屋で、私と馬猫が同じ部屋です。
水森かおりさんと島津亜矢さん、つづいて、お嬢にお千代さん、裕次郎さんが退席しました。
残ったのが、私と星猫、銀河猫、馬猫、赤木圭一郎さん、都はるみさん、女王石川さゆりさん、藤圭子さん、青江三奈さんです。
赤木圭一郎さん「ぼくは、アンドロメダに早く来過ぎた。でも、当時は今の10倍も20倍ものスピードで仕事をしていたので疲れていました。」。
銀河猫「赤木さん、あなたには今でもむ多くのファンがいますよ。こちらにもファンがたくさんいるじゃないでか。うらやましいですよ。」
赤木圭一郎さん「ここでは、自分が俳優兼監督でやっていますから、楽しく撮っています。」。
「今年は、お嬢と青江三奈さんに出演してもらって良いのが撮れました。」。
「ヒットしています。ここでは全銀河が相手ですから。」。
「次に、藤圭子さん主役で「惑星はしご酒」というのを撮ろうと思って、圭子さんと交渉中なんです。」。
藤圭子さん「私は、いつからでも入れますよ。娘も地球で大活躍しているんだから、私もがんばらなくっちゃね。」。
赤木圭一郎さん「それでは、明日、台本を渡しますよ。企画も終わったし後、シューティングです。」。
私は「それ、地球でもヒットすると思いますよ。」。
青江三奈さん「地球と違って、ここは文明が千以上あるでしょう、観客数から収入まで地球とはスケールが全然違うのよ。」。
「地球のスケールでは、計れないのよ。」。
私「すごい金持ちになれそうですね。」。
青江三奈さん「何言ってるの、ここではお金の多い少ないは生活には関係ないのよ。」。
「生活はすべて保証されているんだから。」。
都はるみさん「理想郷って感じね。」。
女王石川さゆりさん「地球にもこういう所があってもいいよね。」。 翌朝
馬猫、あれ、船の中にもスターバックスがあるじゃん。
スタバはこの星に気に入られているんだな。ま、何星人でも差別や偏見を持たないで接客してるからな。
お嬢 「船はいつ地球に向けて出航するのよ。」。
カラス 「今日の昼過ぎ、午後18時です。」
お嬢 「あら、そう、島津亜矢さんと水森かおりさんの送迎パーティーをやりましょうよー。」。
石原裕次郎さん 「おう、やろうじゃないか、久しぶりに飲み倒すのもいいものだ。」。
カラス 「じゃー、うちのスタバでやってくれますね。パーティー会場もありますから。」。
青江三奈さん 「カラスさん営業ができるじゃん。」。
カラス 「へっへっへ、実は、都はるみさんから入知恵してもらったんですよ。」。
石原裕次郎さん、「スタバいいぞ。」。
カラスはすぐにパーティーの予約をマザーコンピューターと交信して予約を取った。
亀猫 「18時出航なら、17時30分までに退船しないといけないから、パーティーは17時お開きですね。」。
カラス 「開始が14時で、終了が17時でいいですね。」。
石原裕次郎さん 「それでいいじゃないか。」。
カラスは、コンピューターに指示を出している。 私の端末(スマホもどき)が鳴った。
副長からだ、「ブリッジとエンジンルームを見学に来ませんか?」。
私 「ちょっと待って、裕次郎さん、ブリッジの見学行きますか?」。
裕次郎さん 「おう、行こう。」。
私 「行きます。」。
副長 「15階の広報のカウンターまで来てください。」。
全員がエレベーターで15階に降りた。
広報のカウンターに行くと、カンガルー型のアンドロイドが、私たちを案内してくれる。
エレベーターで20階に降りた。
警備のロボットやスタッフが忙しく廊下を行き来している。
ブリッジに入った。エンタープライズの内部を思わせる感じだ。
ガルーが色々と説明を始めた。
航行はAI任せで全自動航行が出来る。
適材適所で色々な星人が配置に付いている。
藤圭子さんが超遠距離レーダーを、のぞき込んでいる。
画面の左下から小さな光点が登って来る。
藤圭子さん 「この光点は何ですか?」。
ガルー 「光点にタッチして下さい、説明が出ますよ、そうです、この星に到着する連邦のイージス艦です。」。
「本船に危険が迫っているときは警報が出ますよ。」。
藤圭子さん 「わー、すごいねー。」。
ガルー 「こちらの画面では地球のニュースなどが見れますよ。」。
女王石川さゆりさん 「日本は大雨で大変そう。安倍総理も頑張ってるね。」。
女王石川さゆりさんと水森かおりさん、島津亜矢さん、都はるみさんは地球のニュースに釘付けです。
銀河猫 「CICも有るんですか?」。
ガルー 「はい、よく気が付きましたね。しかし、船長と副長と、スタッフ以外は入室禁止が禁止されています。」。
銀河猫 「ま、どの船でもそうですよね。」。
「でも、CICが有るということは、武装しているんですね?」。
ガルー 「恒星間航行をする船で、武装していない船は有りませんよ。宇宙深淵では何が出て来るか分かりませんからね」。
銀河猫 「なるほど、そうですよね。」。 ガルー 「レーダースクリーンを見てください。連邦から海王星を経由して地球行きの2千万トン級の貨客船が出発しました。」。
「地球との貿易は、この10年ほどの間に100倍に拡大しています。」。
藤圭子さん「地球も一足飛びに科学が発展したのですね。」。
青江三奈さん「いいですね、一度帰ってみたいね。」。
「でも、地球の事は、ここで手に取るように見れますもの、寂しくはないわ。」。
「地球で私たちのことは分かるのですか?」。
星猫「いえ、分からないですよ。地球でお亡くなりになられた方々の情報は、地球からは検索出来ないようになっているようです。」。
「地球の人が故人にお会いしたい時は、こうしてアンドロメダまで来なけらばなりません。」。
青江三奈さん「片側通行ですね。」。
星猫「そういうことになりますね。」。
都はるみさん「こうして、アンドロメダに来ていることは、なんだか現実感がしない時があります。夢の世界のようです。」。
私「そうね、地球文明とアンドロメダ文明の落差というんでしょうか。」。
都はるみさん「私たちもいずれ、地球を去った時、このアンドロメダに来れるのですね?」。
星猫「そうです。今は下見ですか。」。
都はるみさん「ここは、文明が発達していて、地球のこともよく分かるし、知り合いもいるし、次の世としては良いわね。」。 メインエンジンが始動した振動がわずかに船橋にも伝わっている。
藤圭子さんは、超遠距離レーダーに釘付け状態だ。
都はるみさんも同じ。
レーダースクリーンには、宙航船が次々に映し出される。
地球の港湾レーダー、冥王星の出境レーダーを見ているようだ。
出船、入り船、帰り船という感じだ。
ガルー「ここにIDカードをタッチしてください。あなたの言語で表示されますよ。」。
都はるみさんが自分のIDカードをレーダーの画面にタッチしてみた。
すると、音声ガイドと画面表示が日本語になった。
都はるみさん「このレーダーは良く出来ているね。」。
ガルー「そうですね、普段はアンドロメダの銀河連邦共通語になっているんですよ。」。
「今では、どこの星と交信するのも自動翻訳機で行いますので、共通語というのは死語になっていますけどね。」。
「本船でも、船内だけは共通語を使用しています。約、130人種が乗り込んでいますから。」。
島津亜矢さん「ガルーさん、どこで日本語を習ったのですか?」。
ガルー「習っていません、これは自動翻訳機を使用しているのです。」。
島津亜矢さん「そうですか、全く分からないですね。」。
ガルー「地球にも最近この手の翻訳機を輸出しているはずですよ。」 星猫 「あっれ、都はるみさんがもう一人現れた!」。
都はるみさん 「馬鹿、真屋順子さんじゃないですか。」
ガルー 「私が呼んだんですよ。」
真屋順子さん 「皆さん、お久しぶりです。」
時間があまり有りませんので、こちらに残る方は、そろそろ下船準備をしていただけますか。」
「地球に帰られる方は、島津亜矢さんと水森かおりさんですね。」
「女王石川さゆりさんと都はるみさんはしばらくアンドロメダに滞在されるんですね。」 お嬢 「送迎パーティーをする時間がなくなったね。」
恒星間スカイプで、パーティーをやりましょう。」
赤木圭一郎さん 「良い考えだ。」
全員がスタバに戻って、アンドロメダワインでお別れの乾杯をした。
残留組は反重力シャトルで元の埠頭公園に戻った。
カラスも一緒だった。 増え続ける警察官と不祥事にみる日本の問題 警察力を一蹴した尾畠氏が指南する日本人の生き方の基本(1/8) | JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54005 2個の太陽の夕陽を受けて、アースメダが水面を離れて上昇して行く。
海面から200メートルほど上空で静止した。
満艦飾のライトを点滅させて別れのシグナルを送っている。
お嬢と都はるみさん、女王石川さゆりさんと藤圭子さん、青江三奈さんが歓声を上げている。
真屋順子さんはなぜか泣いている。
しばらくして、船は空の彼方に消えて行ってしまった。
カラスは相川らず都はるみさんの肩に止まったままである。
星猫 「そろそろ夕食ですね。」
藤圭子さん「お寿司が食べたいね。」
真屋順子さん「そうですね、地球を思い出します。」
お嬢 「どこでお寿司を食べられるの?」
カラス 「ここのスタバでも食べられます。」
藤圭子さん 「早く行きましょう。」
カラス 「第2軌道にあるスタバです。」
「シャトルに迎えに来るように連絡しました。」 カラスが軌道上のスターバックスに注文を入れている。
星猫が軌道エレベータで行くか、シャトルするかをお嬢に聞いている。
お嬢 「シャトルのが安心するね。」
星猫 「そうだね。」「カラスちゃん、スターバックス専用のシャトルを回してもらえるかな。」
カラス 「店のマザコンに連絡します。」
女王石川さゆりさん 「こんな銀河の辺境でお寿司が食べられるなんて信じられない。」
都はるみさん 「どんなお寿司かな。」
青江三奈さん 「楽しみね。」
銀河猫 「待っている間に、藤圭子さんの「浅草しぐれ」を聞きたいです。」
藤圭子さん 「良いですよ。」
奇跡の天才歌手、藤圭子さんの澄み切った歌声が頭の中で反響する。
いつか忘れるあの人なのに
飲めば未練がまたつのる
銀河猫は、この歌を聴かないと一日が始まらないと思っている。
高音域のつまりは全くない、キレも良い。
開放感があり、まとまりもある。
ケチの付けどころを探したが、全く見つからない。不思議な歌手である。
都はるみさんや小柳ルミ子さんのような完璧さを備えている。 歌唱に説得力が乗っている。
率直で、嫌味にならない程度の煌びやかさがある。
中音域も歯切れが良い。スピード感もある。
どんな歌にも対応できる。
哀愁の漂う歌い方も上手い、臨場感を感じさせる。
ダイナミックな歌い方もするが、繊細さも持ち合わせている。
とにかく、ケチの付けどころがどうしても探せない。
一日中聴いていても飽きが来ない。
その点は、都はるみさんのようでもある。 第2軌道のスタバに行くと、お千代さんと米倉涼子さんが待っていた。
あの天才役者、米倉涼子さんである。
一同驚きである。
お嬢もポカンとしている。 星猫 「篠原涼子さん、アンドロメダへはいつ来られました?」
篠原涼子さん 「1週間ほど前に来ました。演技の幅を広げるために来ています。」
銀河猫 「最近は、予想していなかった地球人の方がよく訪問されますね。」
「ここは、太陽系の何千倍もの文明が在りますので、見識を広げられにはもってこいの場所だと思います。」
「私たちと一緒に見て回りましょう。」
「地球に帰ったときにここでの経験が役に立ちますよ。」
篠原涼子さん 「そうですね、お願い致します。」 カラスがスタバのマザコンとマシン語でやり取りをしている。
馬猫 「何をやり取りしているんだ?」
カラス 「私ね、藤圭子さんの「浅草しぐれ」を聞かないと一日が始まらないし、終わらないんです。」
馬猫 「!?」
スタバのミュージックマシンが私たちのテーブルに3次元ホログラムで藤圭子さんの姿を写し出している。
和服姿の圭子さんである。
いっぺんに目が覚めた!
高音に張りと圧力感がある、バリバリである。 夜のネオンに抱かれて眠る
いっそ涙も思い出さえも
捨てて行きたい隅田川
高音は硬くてきついと言う感じではない。
なんと言うのかな、雄大な高音とハイエンドの繊細な感じがありながら、艶もある。
あんな華奢な身体からどうしてこんな、天空から振り下ろしてくる秋風のようなさわやかな歌唱ができるんだろうか?
無視出来ないのである。
みんな、熱心に聴いている。
天下のお嬢や都はるみさん、女王石川さゆりさんも、納得したように聴き入っている。
カラスが2回目をマザコンにリクエストした。
藤圭子さんは、下向き加減で聴いている。 藤圭子さんは、アンドロメダから地球への時空の壁を越えることができない。
どちらも宇宙が作り上げた架空の世界なんだろうか?
それとも、どちらも現実の世界なのだろうか?
赤木圭一郎さんもそうだけど、藤圭子さんもアンドロメダに来るのが早すぎた。
カラス 「次は、都はるみさんの.......」 カラス 「都はるみさんの、「涙の連絡船」をリクエストしました」。
カラスはアンドロメダワインを注文している。
亀猫「今日は、演歌で乾杯です。」。 都はるみさんという歌手も、1万年、いや、もう2度と現れない個性的な歌手である。
彼女の場合は、歌声がセクシー、まとわりついてくるのである。
キメが細か過ぎというのか、聴くものが納得するまで情況を説明するのである。
それでいて、これ見よがしなそぶりは全くない。
厚みのある歌唱というのかな、輪郭だけをなぞって歌うのではない。
生々しさが聴くものに突き刺さってくる。
藤圭子さんとはまた別次元の歌手と言うべきだろう。 身振り手振りで一生懸命に詩の表現を説明する。
歌屋であるが役者でもある。
自分が詩の主人公になって、聴衆に訴える。
なかなかの役者である。
これに天賦の才能が味方するのであるから、上手いはずである。 亀猫がカラスにリクエストしている。
「港町ブルース」を藤圭子さんで、「奥飛騨慕情」を都はるみさんで。
カラスは、スタバのリクエストコンピューターに入力している。
藤圭子さんの3次元ビデオが始まった。
繊細でありながらダイナミックな声色。声に気品があり、余韻が気持ちがいい。
開放感・明瞭度も最高だ。
向こうから語りかけてくる積極的な声なのに、突っ張った感じは一切なく、響き、
音場感が素晴らしい。
藤圭子さんを継ぐ歌手を探してみるのだが、地球では見当たらない。
演歌界は、いったいどうなって行くんだろうか。 お嬢、都はるみさん、女王石川さゆりさんを継ぐ歌手も見当たらない。
個性的な天才たちがもう2どと現れないと思うと、地球の未来を見ているようで、寂しくなる。 都はるみさんの「奥飛騨慕情」が始まった。
彼女の場合は、こんな歌い方もあったのかと、驚かされる。
他人の持ち歌をいとも簡単に、錬金術にかけてしまい自分の持ち歌のように変換して歌いあげてしまう。
ダイナミックレンジは藤圭子さんのように広くはないが、情感のテクニカル分析は天才的で相当のものだ。 都はるみさんの場合、年代を重ねたからだろうか、それとも若い時からだろうかわからないけれど。
自分の持ち歌よりも他人の持ち歌の方が上手いような気がしてならない。
自分の型にはまらないから、いいのだろうか。
そうだとしたら、彼女はまだこれから幅の広い歌が歌えるということになると思うのだが。
年だからここで固まりましたとはならないことだ。 カラス 「銀河猫からレポートです。東亜樹ちゃんという子が地球にいます。」
馬猫 「知っているよ、将来が楽しみな子だよ。日本の演歌界を背負って行きそうだよ。」 カラス 「東亜樹ちゃんね、昭和20年代のお嬢を見ているようですね。」。
銀河猫 「越後獅子を聞いてみたのですが、なんとも、お嬢に生き写しって感じじゃないですか。」 カラス 「亜樹ちゃんは外国の歌も歌える。
彼女には素晴らしい未来が待っている。」 カラスに東亜樹ちゃんの歌をリクエストした。
東亜樹ちゃん、「影を慕いて」を歌っている。
千曲もレパートリーがあると言っていたが、頭の中はどうなっているんだ。
島津亜矢さんのようでもある。
お譲と島津亜矢さんの子供の頃を足したような感じかな。 次から次に、矢継ぎ早に、昭和の名曲を歌い上げて行く。
平成の小歌星。 都はるみさんの「女の海峡」をリクエスト。
私の明日はどこにある
心冷たい 夜の海峡一人旅 藤圭子さんは、東京、横浜を駆け回る夜の蝶って感じかな。
対照的に、もちろん都はるみさん。
小袖頭巾を被って、従者を伴って箱根から江戸に急ぐ武家娘という感じかな。 カラス 「ここは、アンドロメダ銀河、地球とは年代の比較が不可能ですね」。
星猫 「そろそろ、お千代さんの別荘に行きますか」。
お千代さん 「しばらく、私の別荘を拠点にしてしてください」。
青江三奈さん 「別荘はどこでした」。
星猫 「台場の東側の高台にありますよ」。
お千代さん 「私の反重力シップを呼びました」。 お千代さんの反重力シップお千代丸のアテンダントコンピュータから、
SSBのアッパーサイドバンド860MHZジャストで、お千代さんのスマホにコールしてくる。
はて、何で?音声会話ならFMかAMでいいんじゃない?
お千代さんのスマホはUSBの復調に手間取っている。
BFOの局発がうまく同期できていないようだ。
モガモガとしか聞こえない。
明らかに局部発信周波数が同期していない。
お千代さん「なんかモガモガ言って聞こえない」。
星猫 「私の惑星間トランシーバーで受信してみます。」。
「パスワードを教えてください。それと2段階認証のコードも教えてください。」。
お千代さん 「これです」。
星猫 「船のアテンダントコンピューターとコンタクトできました。」。
お千代さん 「こんな無線機があるんですね」。
船と会話を交わしている。
「今晩10人ぐらいが別荘に泊まるので、夕食と朝食の用意もして下さいね」。
お千代丸 「お千代様、了解です、何時頃到着予定ですか?」。
お千代さん 「お嬢、何時頃下に降りますか?」。
お嬢 「そうね、17時頃、ここを出発でいいんじゃないの」。 星猫は船との交信でSSBが使われたのがなぜなのか聞いてみた。
アテンダントコンピューター 「常識的にはデジタルでADーDAを使うのですが、ただ今DSP基盤が故障して交換作業中なものですから申し訳ありませんでした」
「また、AMは惑星間ノイズが多くて、FMはご存知のように混信に弱いものですから、わざわざSSBを使用しました」。
星猫 「なるほど臨機応変か」 アテンダントコンピューター 「SOS、OSO通信には確かに今でもAM変調は使います」。
「振幅変調ですから20KW入力で、空中線電力は10KW出力です。」。
「アンドロメダでもラジオ放送はAMですよ。非常放送が鉱石ラジオでも、聴けますからね。」。
「大気圏航空機の無線機は地球と同じでAMの送受信もできます。ただ地球と違って、通常の交信はデジタルです」。
「生命体が生身である限りAM方式は残りそうですね。」。
星猫 「分かりました、ありがとう。」。 カラスは、八代亜紀さんの「なみだ恋」をリクエストした。
星猫 万能の天才登場だな。
生まれるのが遅すぎた、中世のヨーロッパに生まれていれば王様から引っ張りだこ。
王様お抱えの歌姫になれただろう。
天は、彼女に2物も3物も与えた。
哀愁の漂う歌から明るい歌まで幅広く切り込んでくる。
昭和の全盛期に島影から飛び出てきた1羽のカモメ。
船村徹先生から、10週勝ち抜き歌合戦のときに「ケチのつけようがない」と、言われた八代亜紀さん。
彼女には、「東京内港」「横浜港」「神戸港」がよく似合う。 亀猫 彼女は下積み時代は苦労したようです。
「なみだ恋」の大ヒットから好転したんだよ。 八代亜紀さんもテクニカル分析でストーリーを組みたてているようだ。 銀河猫 セリーヌ・タムさんとMay・Jさん、東亜樹さん、アジアの歌謡界を背負って行くのだろう。 カラス 地球の大気圏航空無線は通常、無線機の故障率を下げるために変調はAM方式ですね。
回路が簡単で原始的ですから。
この方式はノイズに弱いですけど、対策としてノイズブランカー回路は搭載していますか?
星猫 よくわからないですけど、ブランカーはスイッチでON、OFできますので付加しても問題ないと思いますね。
ノイズリダクション回路はあらゆるノイズ除去に効果がありますけど、DSPにしか使えませんしね。
ブランカーはパルス性のノイズにしか効果がありません。
航空無線を聞いている限り、持続性のノイズは残っています。
信号強度が弱いためですかね。
ノイズブランカーを使用していて、パルス性のノイズのみカットして持続性ノイズが残っているのかははっきりしません。
ただ、やはり、AM方式は原始的ではありますが、デジタル方式のようにノイズレベルの信号は容赦なくカットするということがないので通信の信頼性はあがりますね。
弱々しくノイズの波間に消え入りそうな信号でもキャッチできるということですね。
最新の通信方式が役に立たないということですね。
というか、信用ならないということですね。 銀河猫 地球での民間航空機搭載無線機の出力は
やはり故障率の低減を意識していますね。
VHF128Mhz帯のAMで、出力は10Wです(洋上管制用は150W)。
空中線電力が意外と小さいように思いますけど、出力も小さいほど故障率も小さいですからね。
高い空を飛ぶので、アンテナを1万メートルに上げているようなものです。
それと、障害物が何も無いので地上との交信は楽勝でしょうね。
万一、交信できないときは、HF帯に切り替えもできます。
アマチュア無線から見ると、航空機の無線のロケーションは、あんな高空から電波を発射するので届かないところは無いように思います。
電力の節約(燃料の節約)と故障率の低減。
理にかなっていますね。 銀河猫
航空機は高高度を飛行し、電波が遠くまで伝播することから周波数の再利用が難しいため、
非常に広い周波数帯が割り当てられている。
変調方式はアナログの振幅変調 (AM) であるが、
これは既に送信中の他局に被せて送信してもある程度通信できるようにするため、と言う説がある。
このデジタル全盛の時代に、アナログ通信です。
しかもAMですよ。FMはダメですか?
FMはノイズがうるさいので、どうしてもスケルチ回路を動作させて、無信号時のノイズと同じ低レベルの信号をカットしないとやってられない。
テレビの信号のない時のザーという音です。
こんな時代にアナログ通信、やっと謎が解けました。
航空機は徹底して、安全と故障率の低減を意識ているんですね。 航空機は高高度を飛行し、電波が遠くまで伝播することから周波数の再利用が難しいため、
非常に広い周波数帯が割り当てられている。
変調方式はアナログの振幅変調 (AM) であるが、これは既に送信中の他局に被せて送信してもある程度通信できるようにするため、と言う説がある。 「これは既に送信中の他局に被せて送信してもある程度通信できるようにするため、と言う説がある」。
思い出しました、まだアマチュア無線でAM全盛の時代で、中国との国交が出来ていない昔のことです。
7Mhz帯で、新潟地震の非常通信を行なっていた時のことです。
19時ちょうどになると、7050サイクル(当時の呼称)のアマチュア無線バンド内で北京放送局が大出力で反日放送を始めるのです。
それでも、中間周波増幅の手前に入れたノッチフィルターやメカニカルフィルターをONにすると遠方の弱小局ともなんとか交信できたのを覚えています。
アナログ通信の威力ですかね。 星猫 アマチュア無線ですか。
数十年前は、SSB変調方式の黎明期でしたね。
7Mhz帯の7030Khzまでの電信バンド内でしか出ていませんでした。
日本アマチュア連盟のバンドプランで決められていましたね。
モガモガ言って変な方式だといぶかっていました。
AMオンリーだったから、受信機に復調回路が無かったんですね。
ひたすらハイパワーの時代でした。
新池田のローカル局なんか、カボチャのような大きな真空管で2本の角が出ていてるもので、
1KW入力して500Wの空中線電力をアンテナに送っていました。
見に行って仰天したものです。
私の送信機なんか自作の6AR5プッシュプルファイナルで6W出力でしたから。
それでも電信でロシアとオーストリアあたりと交信していました。
その後、TXー88Aのキットを買って、東京ハイパワーのパワーアンプを付けたりしていました。
懐かしいですね。 星猫 懐かしいな、短波帯で、AM、フェージングに乗って大きくなったり小さくなったりする相手局のシグナル。
時にはノイズに埋もれて一時的に取れなくなる、しかしまたまた浮かび上がってくるシグナル。
CQを出してスタンディングバイ。
こちらをコールするかすかに聞こえるDX局。QRZを連呼して、またスタンディングバイ。
受信機のRF(高周波増幅)ボリュームを最大に上げて、ノイズブランカーをON、ノッチフィルター(ビート混信を減衰)もON。
SSB(シングルサイドバンド、片側波帯通信)のときはシフトボリュームもONして、相手局を混信の外に移動する。
正確には受信局以外をフィルターで減衰させる。
コンテストのときやDX(超遠距離局)が聞こえたときは、バンド内に数十局が群がりビートをともなった激しい混信が起こる。
携帯電話では、遠距離通信であっても対面で会話しているようで全く面白くない。 お千代さんのシップはまだ来ない。
カラスが藤圭子さんの「奥飛騨慕情」をリクエスト。
声を伸ばして、流して、圭子の風景を感じさせる。
都はるみさんのように錬金術は使はないが、詩をストレートに放ってくる。
心に沁みると言うのかな、何とも、真剣だ。
都はるみさんの場合は、そうだ、彼女の場合も、都はるみの風景を感じさせる。
やはり、都はるみさんの場合は一度自分で全体を分解して、再組み立てをしているように思う。
藤圭子さんの場合は、詩を自分流にトレースして行く。
もちろん、だだ追尾するだけではない。
実力と天賦の才が織りなす究極の情感を最高度に表現できる、と言うことだろうか。
無理はしない、これが私の歌なのだ。
一方、都はるみさんは、自分の世界に聴くものを引き込んでくる。
これが私の歌ですと、納得するまで身振り、手振りで説明する。
彼女もまた、天賦の才をその実力で歌謡界を席捲している。 お千代丸がスタバの駐機場に着船した。
3000トンクラスの反重力船である。
スターウォーズに出てくるR2D2のようなエアーアテンダントが出てきて、お千代さんを見つけて走ってくる。
飼い犬が主人に向かって走ってくるような感じ。
お千代さん 「皆さん、船に乗って下さい。」。
お嬢、裕次郎さん、赤木圭一郎さん、青江三奈さんと続いて、最後に星猫が乗船した。
カラスはいつものように都はるみさんの肩に止まったままだ。
磁場シールドがわずかに唸っている。
船が駐機場を後にして、地上を目指して降りて行く。
お台場の高台にある住宅やビルに夕映えが反射して金色に輝いている。
2つの夕陽が輝きを競っているようだ。
船の窓から夕陽を見ている都はるみさんや藤圭子さんの横顔にも夕映えが反射している。
私は彼女たちの顔を見て心臓の鼓動が早くなってきたのを感じている。 港を見下ろす高台の一角、広い駐機場に着陸した。
お千代さんの別荘は3階建になっている。
一階のゲストフロアの広いテーブルの前に皆座った。
アンドロイドの執事やハウスキーパーが正装して、壁に並んでいる。
執事が長過ぎる挨拶を行った。
お千代さんが執事に向かって何やら手で合図している。
テーブルには次次に料理が運ばれてくる。
執事の歓迎の挨拶が終わった。
お嬢 「お千代さん、こんな立派な別荘をいつ建てたのよ」。
お千代さん 「こちらに来た年に建てました」。
お嬢 「今度、あたしの別荘にも来てよ」。
お千代さん 「もちろん、お願いいたします」。
「お嬢、乾杯でいいでしょうか?」
お嬢 「そうね、乾杯しましょう」
お千代さん 「それでは、乾杯しましょう。」
アンドロメダワインで乾杯した。
色々と話が盛り上がって行く。
カラスが、恐れ多くもお嬢に「港町十三番地」をリクエストした。
お嬢 「はい、分かりました」。
お嬢の歌を聴きながら、銀河猫は地球を偲んでいた。 お嬢の「港町十三番地」を聞いていると、遥かに遠くなった、霞の彼方に行ってしまった昭和30年代が記憶の彼方から浮かんでくる。
お嬢が歌い終わると、カラスは、はたと困ってしまった。
次の曲をリクエストできなくなってしまった。
お嬢も流石に気が回る、太っ腹だ。
お嬢 「次、歌ってよ」。
カラス 「ありがとうございます」。
「それでは、森昌子さんの新曲、「百年の恋」をリクエストします」。
お嬢 「まちゃこ、いいじゃないの、聴きたい」。
銀河猫 「真打ち登場、万能の天才!」。 森昌子さん、この人も物真似上手。
都はるみさんのように歌を分解して、錬金術を使わない。
全くの物真似だ、小柳ルミ子さんの「恋の雪別れ」だったかな、上手すぎて顔が見えなかったら小柳ルミ子さんが歌っていると絶対に思う。
都はるみさん、藤圭子さん、森昌子さん、女王石川さゆりさん、それぞれみな違う次元の歌い手だと思う。
同じ歌を歌ってもらっても、それぞれ違う。
特に、都はるみさんは、えっ、こんな歌い方が有ったのか?って感じがする。
いつも、元歌の歌手より上手く感じるのだ。
それなら、初めから都はるみさんに歌わせれば良かったのにと思うときがある。
それから、女王石川さゆりさんの「港町ブルース」は、港が晴れ上がって関門の赤、白灯台がはっきりと見えるような感じ。
透き通っている、無窮の空のよう。 最近の「涙の連絡船」は、曲がドンシャリ感が出てきた感じ。
初期の頃の曲は静かな感じでした。
松原のぶえさんで聴いてみた。
意外だった、本家と肩を並べるような気がする。
上品で訛りも無い、歯切れよくふくよかである。
よくここまで歌い上げている。
持ち歌よりもはるかに品よくまとめている。
意外な人が意外な一面を見せるものである。 カラスが松原のぶえさんの「みれん岬」をリクエストしている。
燃える夕焼けあかあかと
ソフト、マイルド、声に厚みがある。
藤圭子さんのように、シャープでカッチリという感じは少ない。
年齢の割に高域の抜けも良い、嫌味のない高音である(失礼)。
声に気品があり余韻も気持ちが良い。
中域の声に、色気、千万の味が凝縮されている。
一つの個性ではない、千万の個性が凝縮されている。
こんな逸材を見逃していた自分が恥ずかしい。
まだまだ言い表せない何かを持っている。 軽快に歌って、はい上手かったです、では済まされないものを持っている。
昭和の濃厚な人の味と、いうのかな。
地球から持ってきた自作のMUSE02というオペアンプを使ったステレオを通して聴いてみた。
音楽も神戸生まれで、横浜育ちって感じで、良く出来すぎている。
しばらく、松原のぶえ中毒にはまってしまいそうだ。 そうだ、思い当たった、垣間見ただけかもしれないけれど。
松原のぶえさんの歌声は個性のフィルターの帯域幅が広いのだ。
歌声に情報量が多すぎるのだ。
これも天賦の才と言うのだろうか。
そう言う意味では聴き手に飽きが来ない歌唱法だろう。 松原のぶえさんの「みれん岬」を1週間回以上連続して聴いているが、ヘッドホンが外せないで困っている。 銀河猫は、早速、松原のぶえさんの事務所に、アンドロメダ銀河にコンサートに来るように交渉を始めたようだ。 松原のぶえさんの過去の歌を聴いてみた。
残念ながら、今ほど良いとは思わない。
今が最高の出来上がりかな。
普通は、歳を重ねると下り坂なものであるが、彼女の場合は逆ですね。
歳を重ねて渋さとか、重みは出てくるものだが。
彼女の場合は、そんな形ではない。
全く違がう次元の歌手に仕上がっているようだ。
一皮向けたどころではない。
飛び抜けてハイスペックになってしまっている。
どうしたのだろうか?
精進の賜物だろうか? 星猫 「水森かおりさんも、歳を重ねると声に気品と厚みが増して、松原のぶえさんのようなハイエンドな歌手になるだろう。」。
「この若さでこれだから、将来が楽しみである。」。 カラス 「 八代亜紀さんの「恋あざみ」を聴いてみた」。
「震えが止まらない」。
銀河猫 「地球には、ハイエンドな歌手が目白押しですね」。 カラス 「松原のぶえさんの「みれん岬」を銀河間インターネットでアンドロメダ銀河全域に搬送しました。」。
「反響が凄いです。都はるみさん並みです。」。
「スタバのサーバーに過負荷がかかってダウンしましたので、急遽、別のサーバーへバイパスしているところです。」。
銀河猫 「松原のぶえさんにアンドロメダにコンサートに呼んでくれと言うリクエストが多い。」。
「大変なことになりそうだ。」。 カラス 「地球の演歌陣は安泰じゃないですか、まだまだ大物が控えています」。
「長山洋子さんに、坂本冬美さん」。
銀河猫 「アンドロメダでは千以上の文明が有りますから、面白くなりますね」。 カラス 「た、大変です、アンドロメダから、地球行きのチケットが奪い合いになっています」。
「はい、松原のぶえさんのコンサートにみんな殺到するようです」。
銀河猫 「太陽系は、アンドロメダの客船で埋め尽くされるだろうね」。
「太陽系に続いて、アンドロメダでも「みれん岬」が大ヒットのしそうだね」。 アンドロメダからアースメダが火星のサバナシティに到着した。
舶用品の積み込みを急いでいる。
アンドロメダに直ぐに出発するようだ。
地球から「松原のぶえ応援、広報隊」が大挙乗り込んでいる。
船は応援隊で借り切っていて、5万人近くが乗り込んでいる。」。
アンドロメダ銀河をくまなく回る予定だ。
過去の「都はるみ応援隊」と同じような規模になっている。
太陽系はどこに行っても「みれん岬」の曲が流されている。
アンドロメダの辺境惑星では、松原のぶえさんのCDの奪い合いで暴動が起こっている。
地球だけでは、CDの生産が追いつかないから、木星の軌道上の生産工場がフル稼働している。
アースメダは、火星を出発して、木星軌道でCD250億枚を積み込んでアンドロメダに向かう予定になっている。 木星軌道で大量にCDを積み込むので、アースメダは木星軌道を離脱出来ない恐れがあるのでアンドロメダの強力なタグボートが軌道上に待機している。
アースメダは軌道上でCDを積み込んで、木星軌道を約3周して、遠心力を付けて、
フライバイを行い、タグボートとドッキングして一気に木星軌道を離ることになっている。 私も「松原のぶえ広報大使」として、アースメダに乗り込んだ」。 「みれん岬」を何百も聴いても飽きないのはなぜだろう?
ここから、解説しようと思う。 うーん、訂正する。
松原のぶえさんは、過去にも上手く歌っている。
「さよなら港」なんか、とても良い。
都はるみさんのような感じもする。
三沢あけみさんのようでもある。
こんなに上手かったかと卒倒しそうだ。 「なみだの桟橋」も聴いてみる。
やはり、声質に情報量が多い、高音域も詰まった感じはしない。
表現力も都はるみさんと遜色ない。
鳥肌が立ってくる。
言葉の最初と最後の母音の伸びが抜群に繊細で、情感も表現力もここから聴く者の心に切り込んでくるようだ。
見通しが良く、フレッシュであり、パワフルであり、模範的な声質だ。
若干、滑らかさに欠けるところもあるが、それも情感表現の一つだと思えば歌の品位を上げるだろう。 この歌手、松原のぶえさんが大物歌手の後塵を拝しているように思うのは私だけだろうか。
実力と天性のものを持っているのだから、
攻めの姿勢で演歌界を盛り上げて欲しいものだ。 その点、今度の新曲「みれん岬」は、その先鋒になるのではないだろうか。 「みれん岬」
メロディ、ハーモニー、リズムともに申し分ない。
三位一体となって、松原のぶえさんの歌唱と上手く噛み合って、素晴らしい曲が出来上がっている。
八代亜紀さんの「恋あざみ」ぐらいのできあがりだ。 「みれん岬」
リズム感、時空を上手く捉えて歌っている。
伊達に年季は重ねていない。
火星のサバナシティを今、出発したところだ。
もちろん、船内は松原のぶえさんの歌が流されている。 展望デッキには木星が大きく迫っている。
第35軌道のアンドロメダ船専用ドックに着船予定だ。 その頃、アンドロメダでは、カラスが松原のぶえさんの広報、応援隊を迎える準備に忙殺されている。
スタバの建築ロボットを大量動員して、店舗の改装をしている。
お嬢の一行も、さきほどお千代さんの別荘からこちらに到着したところだ。
地球から、演歌歌手が大勢来ているらしい。
あそこにいるのは、香西かおりさんではないか。 アースメダはエンジンの振動が大きくなったので一部部品を交換するそうだ。
あっ、今、最新のニュースが入った。
「松原のぶえさんは、新曲の挨拶回りでアンドロメダには当分行けそうにないそうだ。」。
アンドロメダで暴動が起きなければいいのだが。
木星では、第35軌道の48番ドックに着船した。
本軌道上の第50番バースにアンドロメダのタグボートが待機状態にある。
アースメダに大量のCDの積み込みは、瀬渡し方式で行う。
第35軌道から36万キロ離れた会合地点で木星の貨物船と合流して荷役を行うそうだ。 アースメダとタグボートのドッキング装置の規格が合わないそうだ。
今頃何を言っているんだか。
ケーブルで曳行するそうだ。へー、あり得ない。
ま、いいか。それより、腹が減ったので食堂デッキに行ってみた。
地球人以外に木星人、火星人やアンドロメダの亀人、カエル人など色々な人種が乗り込んでいる。
話題は共通で松原のぶえさんの「みれん岬」に集中しているようだ。
私は、アンドロメダカレーを注文した。
隣の席に木人が座っている。向かいの席にはアンドロメダの亀人だ。
なんか、ひともめありそうだと思った矢先、向こうのテーブルで議論が白熱して怒号が聞こえてくる。
私は亀人の質問に答えて、話し合った。
松原のぶえさんの波乱の半生について話をした。
亀人は半泣きだ。
私はカレーを食べ終えると、コーヒーを卓上ディスプレイを叩いた。
コーヒーを運んできたのは、アンドロイドであったが、松原のぶえさんについて質問をしてくる。
アンドロイドやAIロボットまでが松原のぶえさんのことを知りたがっている。
アンドロメダに着いたら、質問責めに合うのかな。 タグボートの推進装置はイオンスライスター エンジンだそうだ。
曳航されるアースメダは大丈夫だろうか?
タグボートの船長はアンドロメダのウサギ星人だ。
食事が済んだので、客室に戻った。
恒星間LINEで、アンドロメダの銀河猫からメッセージが来ていた。
「こちらは、広報部隊到着の準備は完了出来ました。いつ来られてもOKです。」。
私は「了解、木星軌道で本船はエンジン部品交換中」と送信した。
これから、シャワーを浴びてワインを飲んで寝ることにした。 一方、アンドロメダではスタバの店舗がブロック架設方式で巨大になっている。
宇宙空間に伸ばすのだから重力を気にせずにいくらでも店舗を増やせる。 アースメダが木星の48番ドックからか出航した。
タグボートと貨物船はすでに沖の会合地点に到着している。
アースメダは全速前進から巡航速度にペースダウンしている。木星の重力は強すぎるのだ。
ロングレンジレーダーに貨物船とタグボートの光点と船籍番号が映し出されている。
木星の第1軌道の惑星間管制塔から注意警報が飛び込んできた。
会合地点より2万キロ北から南方向に惑星間パトロールのアメリカ第7艦隊180隻が通過しているという報告である。
すでに、艦隊はアースメダの集合地点を特定しており、臨検があると思われる。
アースメダの展望デッキから貨物船とタグボートが目視出来る距離まで迫っている。 アースメダの惑星間非常通信チャネルに、第7艦隊巡洋艦ポートランドより「貴船の目的は何か?」と職務質問が飛んできた」。
アースメダより「アンドロメダ行き貨物を積み込むために沖荷役を行うところです。」。
ポートランド「調査したいので乗船許可をもらえるか、もらえない場合には作戦本部にその旨報告する。」。
アースメダ「調査乗船を許可します。」。
ポートランド「駆逐艦ハンマンが接近する。」。
アースメダ「了解しました。」。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています