車の保有を制限する理由について、厚労省や福祉事務所は「他の低所得世帯とのバランス」や「住民感情」を挙げ、値段のつかない車まで処分を求めています。
ですがクルマはぜいたく品でしょうか? 自動車を保有する世帯は80.1%に達しています(2015年3月末の内閣府「消費動向調査」)
現在、以下のようなケースでは自動車の保有が認められます。

1事業に用いる場合(農業、各種の商売、運送業、個人タクシーなど)
2通勤に必要な場合(障害者、公共交通機関の利用が著しく困難な地域、または深夜勤務)
3障害者・障害児の定期的な通院・通所・通学に必要な場合(身体障害に限らない)
4公共交通機関の利用が著しく困難な地域で、定期的な通院・通所・通学に用いる場合
5失業や病気、けがで就労を中断しているが、6か月以内に就労による保護脱却が見込める場合
6公共交通機関の利用が著しく困難な地域で、求職活動に必要な場合
7保育所などへの子どもの送り迎えに必要な場合

○過去に車両保有を巡って裁判になった事例○

・通勤や子どもの急病のための車の借用を理由にした保護廃止を違法とした判例もあります(増永訴訟福岡地裁判決、1998年5月26日、確定)
・難病で歩けない妻を病院へ送り迎えするための自動車保有を理由に福祉事務所が保護を停止したのを違法とした判例(峰川訴訟福岡地裁判決、2009年5月29日、確定)
・両足の不自由な障害者が通院や日常生活のために自動車を使っていたことを理由に福祉事務所が保護を廃止したのを違法とした判例も出ました(枚方訴訟大阪地裁判決、2013年4月19日、確定)