続きを書くぜ
コペンハーゲン到着の1時間ぐらい前に
俺はその大学生に
ホテルの部屋をシェアしないかって
話を持ちかけたんだがよ
北欧の国々は物価が高く
安ホテルもほとんどなく
ユースホステルに宿泊するのと
ルームシェアでホテルに宿泊するのと
では予算額が大違いでな
俺の提案は受け入れて
もらえなかったぜ
大学生の計画どおり
俺たちはユースホステルに宿泊
することになったが
大学生は女性用のドミトリーへ
俺は男性用のドミトリーと振り分けられ
2人で過ごすって時間は
二度と巡ってこないような気がしたぜ
一夜明けて
朝食の時にその日の予定を大学生に
聞いてみると
まだはっきりとは決めていないので
1日一緒に行動しましょうと言われてな
俺は二つ返事で了承したぜ
人魚の像を見てから
俺たちが向かったのは
チボリ公園という遊園地でよ
ディズニーランドの構想を
練る際にも検証が行われたほど
古くからある遊園地なんだぜ
その頃の日本では
まだ東京ディズニーランドが
開園したばかりの頃でよ
日本人にとっちゃ
テーマパークなんて概念は
まだまだなかった頃でよ
遊園地と思い込んでいた
俺からするとよ
その何とも言えない
テーマパークというものの持つ独特の
コンセプトに戸惑いを隠せなかったぜ
2人はどちらからともなく手を差し出し
ごく自然に手を繋いで
まるで恋人同士であるかのように
園内を歩いて回ったぜ
一目惚れの女性と共に乗った
メリーゴーランドや観覧車の記憶が
脳裏から離れることは
その後も決してなかったぜ