>>870

続きを書くぜ

コペンハーゲン到着の1時間ぐらい前に
俺はその大学生に
ホテルの部屋をシェアしないかって
話を持ちかけたんだがよ

北欧の国々は物価が高く
安ホテルもほとんどなく
ユースホステルに宿泊するのと
ルームシェアでホテルに宿泊するのと
では予算額が大違いでな
俺の提案は受け入れて
もらえなかったぜ

大学生の計画どおり
俺たちはユースホステルに宿泊
することになったが
大学生は女性用のドミトリーへ
俺は男性用のドミトリーと振り分けられ
2人で過ごすって時間は
二度と巡ってこないような気がしたぜ

一夜明けて
朝食の時にその日の予定を大学生に
聞いてみると
まだはっきりとは決めていないので
1日一緒に行動しましょうと言われてな
俺は二つ返事で了承したぜ

人魚の像を見てから
俺たちが向かったのは
チボリ公園という遊園地でよ
ディズニーランドの構想を
練る際にも検証が行われたほど
古くからある遊園地なんだぜ

その頃の日本では
まだ東京ディズニーランドが
開園したばかりの頃でよ
日本人にとっちゃ
テーマパークなんて概念は
まだまだなかった頃でよ

遊園地と思い込んでいた
俺からするとよ
その何とも言えない
テーマパークというものの持つ独特の
コンセプトに戸惑いを隠せなかったぜ

2人はどちらからともなく手を差し出し
ごく自然に手を繋いで
まるで恋人同士であるかのように
園内を歩いて回ったぜ
一目惚れの女性と共に乗った
メリーゴーランドや観覧車の記憶が
脳裏から離れることは
その後も決してなかったぜ