アルバム『風立ちぬ』が名盤と呼ばれる裏の功労者として、
B面の編曲を担当した茂さんの存在は大きい。
アルバム全編、師匠の楽曲とアレンジであったら多分、
もっとロンバケの二番煎じ的な、
次点扱いのアルバムになってたんじゃないだろうか。

A面楽曲群とタメを張るほど名曲揃いのB面。
大滝師匠のオールディーズの風合いは引き継ぎながら、
より洗練されたアレンジアプローチで描かれた、
A面とは似ているようでどこか違う女の子像。

レコードと言うデバイスは、
盤面をひっくり返すと言う行為によって、
必ず空白の時間が生まれる。
そんなデバイスの特徴を利用して、
A面とB面、続きのようで続きでない、
パラドックス的な世界観を見事に演出できたんじゃないかと思う。