それでは「ミリちゃん先生」続きを

第6部 (1)…世紀も変わったばかりの頃。
ミリは東京と故郷の鹿児島を行ったり来たりしていた。
かねてより病床にいた父の具合が、ここにきてかんばしくない。父の看病は母が中心となっており、それでは負担も大変だから、ということであった。
ミリは自力で動くことは困難となっていた父の身辺の世話に力を注いだ。
鹿児島滞在の時間も次第に長くなっていった。
あまり根詰めても参るだけだから気分転換もしたらとの母の助言もあり、ミリは鹿児島の町を散歩することにした。
見慣れた町であった。しかしミリの心にふとある気持ちがよぎる。
自分はこの町に、何か大事なものをずっと忘れてきたままのではないか。

(次回へつづく)