不条理とは何よりもまず高度の滑稽である。
なんらかのものあるいは人とうまく調和しないことを意味する。
不条理とは通常の予測を外れた行動または思想であり、
不条理な推論とは非論理的な推論である。

不条理によってナンセンスの効果がもたらされるため、
ある種の文学作品ではしばしば不条理的展開が用いられる。
代表的な不条理文学としては、カミュの小説『ペスト』や『異邦人』、
セリーヌの『夜の果てへの旅』、カフカの『変身』や『審判』などがある。

不条理文学は第二次世界大戦に生まれ、多くの場合不条理演劇によって表現された。
代表的作家としてはウジェーヌ・イヨネスコ、サミュエル・ベケット、
フェルナンド・アラバルなど。

哲学的意味における不条理は、
世界に意味を見いだそうとする人間の努力は
最終的に失敗せざるをえないということを主張する。
そのような意味は少なくとも人間にとっては存在しないからである。
この意味での不条理は、論理的に不可能というよりも
人間にとって不可能ということである。

2世紀のキリスト教神学者テルトゥリアヌスの言とされる
「不条理なるが故に我信ず (credo quia absurdum) 」という言葉は、キリスト教信仰の理性による解釈を拒絶したものといえる。
理性によって不可能と判断されるイエスの復活は、
まさにそれゆえにこそ確実なのだとテルトゥリアヌスは考えた。