>>511
もちろん同じような分野の新しい教科書や参考書シリーズを売りたいという営業上の配慮から古いのは需要があっても品切れにしたまま放置するというのはある

だが、それ以上に税金の問題は大きいんだよ、出版社に限らず企業にとってはね
まして出版社は一流と呼ばれる有名出版社でも企業規模は同程度の知名度の製造業の企業に比べれば何桁も小さいから
税負担は極力圧縮しないと利益のかなりの部分ががすぐに吹き飛んでしまう

企業に勤めてみればわかるが、企業と言うのは税金が発生・増加する要因を非常に嫌う
それは出版社でも同じことだろうさ

基本的には今の理工系出版社は特に専門書の場合には大学図書館や大学のその専門書の分野の学部・学科の図書室、
それに大きな自治体の公立図書館に一通り買ってもらえれば十分という意識でやっているのではと推測したくなるケースが珍しくない
その最も典型的なのは培風館、あそこは限られた教科書シリーズ(例えば新物理学シリーズとか)以外は
かなり評判の良いモノグラフでも1刷かせいぜい2刷で打ち切るように見える
(その点では共立なんかは大半の専門書をかなり長い期間、品切れにせず維持してくれるとても奇特な出版社だという印象がある)

この図書館に一通り行きわたればOKというスタンスは「古いのを再刊するよりも新しい本を出せば図書館で買ってもらえる」という営業政策を生み
最初に述べた個人需要に対する営業策の「新しい教科書を買わせるために古いのは刷らない」というのと組み合わさって、ますます品切れ放置状態の好著・名著を
増加させる原因になっていると個人的には推測しているんだがね

まあいずれにせよ出版業界の人間じゃないのであくまでも推測できるに過ぎないわけだが起こっている現象を観察する限りでは
昔に比べて品切れ放置される専門書の比率が明らかに増加している(実質的な刊行期間が短くなっている)現象の理由については中らずと雖も遠からずという自信はあるよ