ペアノシステムは後者関係を基礎にして自然数を定義しているので、
最初が 0 だろうが 1 だろうが 3 だろうが、全単射が存在するので同型だと
考えられる。これは序数を基礎として自然数を考えていると解釈すると、
「使い勝手がいい」という利点がある。これは、藤沢 利喜太郎が主導した、
いわゆる「数え主義」的な発想だといえる。
これに対して、加法を基礎にして自然数を定義した場合(田村二郎
『量と数の理論』などは、この流儀)は、直観主義的な立場といえる。
“量”との対応において理解しやすくはあるが、集合論を基礎にした
現代数学(“量”を捨象して、純粋な“数”に基づいて構築された数学)
においては、“使い勝手が悪い”という憾みがある。すなわち、
「それは『算数』の発想であって、『数学』の発想ではない」という
批判もありうる。

とはいえ、どちらの定義によっても、結果が矛盾することはないので、
実用上はどちらでもよい、という立場はある。「1+1=2」は“定義”に
関わる問題かもしれないが、「2+2=4」は論理的な帰結として正しい。
日本では「1+1は2」という言い回しが使われるが、欧米では
「2+2は4」という表現もあるらしい。

「2+2 は 4である! それは、“ときどきそうなる”のではなくて、
”いつも必ず同じ結果をもたらす”んじゃ!」
ジャック・フットレル、『思考機械の事件簿』の主人公、
オーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドゥーゼン博士の口癖。