18年9月号の講評です。
今月は2問とも良問でした。

■出題1 レベル5 常連正解率90%(完答はレベル8〜9 常連正解率10〜30%)

ピーター氏出題。数オリに出てきそうな良問。
数字和が2020、かつ2020を約数にもつ出来るだけ小さな数(→ハーシャッド数)を求める問題。
余力ある方は2020を2018, 2019に変えたバージョンにトライせよとある。
計算機による網羅探索は基本的に認められない(前回実績より)

どのバージョンでもまず必要桁数を押さえることから始まる。
2020については、
・下二桁目までが限定されること
・10^i(mod2020)の周期性が見やすいこと
などを利用して絞り込んでいく。
力技による絞りこみをどれだけ減らせるかが本問のポイント。

2020, 2019はまあなんとか。
2018も含め全て計算機を使わずに解いた方はかなりの数学力の持ち主。


■出題2 (2)までレベル5(常連正解率90%), (3)はレベル6〜7(同60〜80%), (4)の完答はレベル8以上(30%以下)


定番のhat pazzle。既知の問題と思いきやそこは流石の岩沢先生、極上の新作を持ってきました。

15人が赤or白の帽子を被らされ、他人の帽子の色は見える。
事前にどんな相談をしてもよいが、帽子を被らされてゲームスタートした後は一切の情報交換が許されない。
各人は他人の帽子の色を見て、一斉に赤or白と答える。
答えた色が自身の帽子の色と一致している正解者の数が15人
もしくはn人(ラッキーナンバー)であれば全員解放、
そうでなければ全員処刑されるという残酷なゲーム。
特定のラッキーナンバーに対して全員解放が約束される「確実作戦」を見出す。

(1)はn=0, (2)はn=5, (3)はn=7, (4)はそれ以外のnについて確実作戦を示すか、または非存在を証明する。

解いた方は分かると思うがまず小問の構成がすばらしい。
(2)は(1)を応用し、(3)は(2)を応用することで確実作戦を見出せる。
(4)はシンプルな議論で非存在を示せる。ただしn=3を除いて。
n=3の存在/非存在の証明が本問の完答を斥ける最大の山場。
小問(3)n=7の作戦がトリッキーというか気付きづらいために
(4)まで手が回らない解答者が多かったのではと予想する。