17年3月号の講評です:

■問1:レベル6〜7(常連正解率70〜90%)

縦・横・右下斜めの和がそれぞれ一定値となるm行n列の『三方陣』の問題。
出題者のオリジナル問題でしょうか?
縦横の和が一定で各数がユニークなmagic rectangleなら知っていますが、これは知りませんでした。

問いは『三方陣の簡単な作り方を教えてください』。
作り方を書くだけなら3翻ですが、三方陣になることを証明するのは跳満レベルです。
問題文にある3xnの例示は適切な誘導と言えるでしょう。
1xnからmxnを構成する方法が存在し、さらに突き詰めるとmxnの一般項が得られる。
この一般項の証明が面倒です。
初級者には程よいレベルに見せ、常連には難しいところまで考えさせる。
ナイスな問い方だと思います。

・作り方を見つけたときのAha体験
・二項係数を絡めた込み入った証明を切り抜けたときの爽快感
・万人が楽しめるレベル設定
・三方陣自体の面白さ
これらの点をふまえまして、本年の栄えある最優秀エレ解賞(今作った)にノミネートします。

■問2:レベル?(常連正解率?)

1,2,□,5,4,...の□に入る数字とそのエレガントな理由付けを問う問題。
【無差別級】はノーコメント。好きなことを書けばよいでしょう。
問題は【数式部門】。
ぱっと浮かぶのはラグランジュの補間公式ですが、そこからヒネリを加えるのは難しい。
自分はその方針を諦め、まったく違う角度から考えてお茶を濁しました。
こう書くとこの問題を楽しんだかのように聞こえるかもしれませんがそうではありません。
敢えてキツ過ぎる言い方をすれば読者の求めるものを勘違いした自己陶酔的悪問です。