817 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)2017/01/11(水) 01:17:58.79 ID:UqmC3py7

年末年始、実家に帰省した。時間が余って退屈だったから、コンビニで
手塚治虫のブラック・ジャックという漫画を買って読んだ。そのうちの
一編に感動した。タイトルは「友よいずこ」というものだ。

ブラック・ジャックこと間黒男は、幼少時に不発弾の爆発事故で大怪我を負う。
大手術が行なわれ一命をとりとめる。しかし顔に皮膚を移植しなければならない。
新しく若い新鮮な皮膚が必要となる。クラスメイトのほとんどは提供したがらない。
しかしただ一人、提供してくれた者がいた。母子家庭な上、無愛想で嫌われ者だった
黒男に唯一人だけの友達、タカシだった。(混血児だった事もあり虐められる側だったが、
誰とでも仲良くしようとする心優しい少年だった)。黒男からは勉強を教えてもらっていた。
こうして黒男は治った。だがタカシは転校して行方知れず・・やがて医科大学に進んだ黒男は、
タカシを探す。しかし杳として行方はわからない・・ずいぶん経った頃、アルジェリアでタカシと
ニアミスする。が、結局は逢えず手紙をもらう。そこにはこのようなことが記されてあった。
「クロオくん、よく来てくれた。きみはずっと僕を追っていたのだね。何年ぶりだろう。懐かしいね。
きみが医者になっていることは薄々知っていたよ。会いたい。本当に会いたいよ。でも会えないのだよ。
僕は転々と居場所を変えているんだ。
きみは医者になって人間を治しているんだね。僕も医者なんだ。フフ、医者にもいろいろある・・
僕が治そうというのは・・地球だよ。
そうだ、地球は今、病気なのだ。どんどん重くなって、今に地球は、死んでしまう。
地球は生きてるんだ・・その地球を病気にして殺そうとするバイキンどもがウヨウヨいる。
今こそ、そいつらをつぶして、地球をよみがえらせる医者が必要なんだ・・
もう、きみとは恐らく会えまい。さようなら。きみがいい人生を送ることを祈ってるよ」

それから程なく、タカシは死ぬ。アフリカのアルジェで自然保護運動のグループが暗殺され、そのなかに
タカシがいた。彼らは、アフリカの原子力施設建設に反対していたのだった・・