>>721
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■動植物の奇形が増えている!
――都内在住の私も、あの事故直後にほぼ完治していたはずの喘息の発作が再発しました。
ネット上には、福島の高濃度汚染地域にいると(人体で特に柔らかい部分である)
耳たぶが溶け始めるというウワサも囁かれているようですが、
その真偽はいかがでしょうか? また、被爆による癌の発症率は増加していますか?
阿部  
耳が溶けるという話は聞きませんが、動植物の奇形は増えていますね。
癌に関しては、実はこれまでと比較して顕著な違いは見られないのですが、
心筋梗塞の患者は県のデータで2010年から2011年にかけて10%以上も増加しており、
これはやはり被爆の影響ではないでしょうか。

■放射能汚染のヤバさをひた隠す日本
――メディアの報道と現地の状況でもっとも乖離している点は何ですか?
阿部  まず、福島原発3号機か4号機の燃料棒が吹き込んだことは事実で、
住民の目撃者も多数おります。楢葉町(福島県双葉郡)では、
井出川の河口付近で高濃度の放射性物質が見つかっているんです。
東電の依頼で、原子力ムラの一味である「日本原子力研究開発機構(JAEA)」が
それを分析した結果がこちらです。
物質3は表面のβ線が35.6mSv/h(ミリシーベルト)もあります。
同様のものは2016 年にも見つかっています。
「報道ステーション」(テレビ朝日)は燃料棒が吹き飛んだ事実を報道していましたが、
それ以外のほとんどのメディアは報道しませんでした。
 そしてもう一つ、実は放射線量は『平均化』して報道されています。
空間線量率(対象とする空間の単位時間当たりの放射線量)の数値が瞬間的に上がっても、
原子力規制庁は各「環境放射線モニタリングポスト」から
衛星で1分または30秒ごとに送られる数値を10分単位の平均値にして公開しているということです。
しかし、各地域に置かれたモニタリングポストの放射線量グラフを見ると、
一気に放射線量が上がる瞬間があります。
特に福島の東半分では、毎日のようにモニタリングポストの数値が跳ね上がっています。
2012年に1mSv/h超えはしょっちゅうでした。
原子力規制庁の監視情報課は、その原因について「高濃度のダストへの反応で、
吹き溜まりが舞い上がっている」と私には語っており、
福島原発からそのまま飛来している可能性も否定していません。
 つまり、住民はずっと吸引被爆の危機にいるのです。
国は、その“恐ろしい瞬間”を取り上げず、
数値はみんな平均化して、「大したことはない」と思わせているようです。
「全国サムネイル」という、全国のモニタリングポストが観測した空間線量率の
10分ごとの変化を折れ線グラフにして公開していたサイトがあったのですが、
2015年5月に閉鎖されてしまいました。