>しかし、SEOコードが初めに開発されたのは今から約30年も前であり、その後、現在のパソコンでも使えるように
>プログラムを大幅に書き換える作業もおこなわれたが、当然その当時のさまざまなデータを現在に適用してもそれは正当性をもたない。
>そこで、瀬尾氏が亡くなられてから現在もSEOコードの更新に携わっている京都大学原子炉実験所の小出裕章氏の協力を得て、
>玄海原発3号炉におけるプルサーマル事故の被害予測をおこなった。
>設定条件シミュレーションの設定は、玄海3号炉でPWR2型事故(炉心冷却系が故障して炉心熔融。さらに格納容器スプレイと熱除去系も
>故障するため、格納容器内の圧力上昇を抑えることができず格納容器の耐圧限度を突破して破裂し、格納容器内の大量の放射能が環境に噴き出す。)
>が発生したとし、その時の気象条件はごく普通のもので、大気安定度はD型、風速は4m/秒とした。
>また、住民の避難は事故発生から5年後に行われ、それ以降は無人になるとした。
>PWR2型の事故は類型の中でも2番目に大きな事故を想定したものである。
>急性障害による死者急性障害による死者が生じる範囲は玄海原発を中心として、佐賀県はもちろん、福岡県、長崎県にまで及ぶ。
>玄海原発から10km以内の町(玄海町、呼子町、鎮西町)では全人口が急性死することが予測され、中でも発電から最も近い鎮西町における短期被曝線量は
>144.315Svという数値になった。
>また、玄海原発から10〜20km以内に位置する市町村では人口の6割〜9割が急性死するという結果が出た。
>この、玄海原発から10〜20km以内には人口約8万人の唐津市(合併前)や、長崎県の福島町、鷹島町などが含まれる。
>急性死者がそれほど多くない地域でも長期的に見ると、その後晩発性のガンによる死者は非常に大きな数値が出る。
>佐賀市で16,790人、福岡市で134,100人、長崎市で38,282人となっているが都市においてもそれ以外においても甚大な被害が出ることが予測される。

>ここでは、24方向それぞれの風向き場合を考え、日本全国の都道府県別晩発性ガン死者数を予測した。風が75度の方向に吹いたときに被害は最大となり、
>被害者は全国で700万人を超えるという結果が出た。これは、玄海原発から75度の方向にちょうど福岡や大阪、名古屋、東京といった大都市が重なるためである。
>また、図は特に被害が大きくなると考えられる75度と60度方向に風が吹いていた場合の被害者の数と場所を日本地図に書き込んだものである。
>東京、愛知では約25万人、大阪では48万人、広島で41万人、福岡では200万人を超えるガン死者が出るという結果となった。

>長期的に居住不可能となる地域
>緩い方の基準でも、九州のほぼ全域が入り、厳しい方の基準で見ると九州全域に、中国、四国地方までもが長期的に居住不可能な範囲となるという結果となった。
>また、現在日本が定めている1キュリー/km2で考えると、避難すべき範囲は1711kmと、日本国内ではおさまりきれない範囲にわたるという結果となった。

>今回のシミュレーションの結果を見る限り、日本で(論文当時)唯一プルサーマルがおこなわれている玄海原発3号炉において大規模な事故が発生した場合、
>佐賀県や九州にとどまらず、急性の死者や晩発性のガン死者などの人体への直接的な被害にとどまらず、住んでいる地域の環境そのものが
>広範囲にわたって汚染され、人体以外にも、人々の生活や、そこにある自然環境にも大きなマイナスの影響を与えることとなる。