福島県で多発している小児甲状腺がん。依然、「被ばくによる多発だとは考えにくい」という
見解を示している県の検討委員会だが、疫学者の津田敏秀氏は、「甲状腺がん(おもに乳
頭がん)の外的要因は、放射線被ばくであることは、国際的にも認められており、他の原
因が説明できない現状において、甲状腺がん多発の原因は、被ばくしかない」と断言する。
津田氏が、被ばくの影響を裏付けるデータとして挙げているのが、チェルノブイリ原発事
故の影響を受けたベラルーシで、〈被ばくの影響を受けていない14歳以下の子ども4万7
203人を対象に行った甲状腺エコー検査〉の結果だ。
「被ばくしていない地域の子どもたちには、一例も甲状腺がんが見つかっていません。
チェルノブイリでも、原発事故後、今の日本と同じように10年以上にわたって、甲状腺が
んの多発は、『スクリニーング効果だ、過剰診断だ』と論争が続いていました。でも、この
データが、論争に終止符を打ったんです。やっぱり被ばくの影響だ、という確証になりま
した」(津田氏)