>>427
筒井康隆「霊長類南へ」か…うろ覚えだが

放射能汚染を逃れて南へ脱出する船に人々
が殺到。船内は圧死者多数で、その圧死体
から流れ落ちた脂を燃料に船が航行する。

…て小説ならではのエグいシーンがあった。

でも現実は「逃げ」はしないものの、人々
の肉体をすり潰しながら、当面の間は社会
が航行を継続してる(行く宛もなく)わけ
で、まさに秀逸な比喩だったのだなと思う。

この小説で、もう一つ印象的なシーンは、

女性が自宅をシェルターにして避難してる
所に、彼氏が「入れてくれ」と懇願する。
女性は一旦は拒否するが、彼氏が貴金属類
のアクセサリーをちらつかせると、物欲に
負けて扉を開けてしまう。その貴金属類は
すでに汚染され放射性廃棄物になっていた。

汚染された土地、残された資産に欲を出し
ろくにスクリーニングもせずに汚染された
モノを拡散させている現状そのままの比喩。

だが、さすがの筒井も、汚染された食料を
わざわざ生産して拡散したり、こどもたち
をわざわざ汚染地に送り込むような展開は
あまりに「ナンセンスで非現実的」なので
書かなかった。事実は小説よりも奇なり。