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◎整備業界苦悩、自ら対策
<人目を忍び除去>
「油水分離槽がもう限界だ」。住宅街の一角にある整備工場の緊急連絡。
驚いた業界関係者が駆け付けると、床下の分離槽に流れ込んだ汚水が逆流し、工場内に噴き出す光景を目の当たりにした。昨年1月のことだ。
「恐れたことが現実に起きてしまい“第2の汚染水”とパニックになった」と業界幹部。
その2カ月前、汚泥のサンプル検査から国の指定廃棄物基準(1キログラム当たり8千ベクレル超)を大きく上回る値を検出、国や東電に対応を急ぐよう求めたばかりだった。
今も洗車の汚水は日常的に分離槽へ流れ込み、底には汚泥がたまるばかり。人目を忍ぶ除去作業を強いられる。
「深夜にふたを開け、ひしゃくで汚泥をくみ上げている。飛散しないかと心配で。社員にはさせられない」と工場主の一人。
分離槽の汚泥を移し替えたドラム缶に次々と保管場所をとられ、車検に来た客の車が止められない工場まで出てきた。
福島労働局に放射線対策を相談すると「1万ベクレルを超える汚泥だと厳重な防護対策が必要」と手作業を問題視された。八方ふさがりの状況だ。