東海地震 予知前提の情報取りやめへ 防災対策が転換 (動画有り) 9月23日 6時10分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170923/k10011153001000.html

国内で唯一、予知できる可能性があるとされてきた「東海地震」について、国は、予知を前提とした情報の発表を取りやめる方針を固めたことが、
関係者への取材でわかりました。

年内にも南海トラフ全域の地震活動などを評価する情報を新たに作る見込みで、40年近くにわたって予知を柱の一つとして進められてきた
国の防災対策が、大きく転換されることになります。

「東海地震」は、南海トラフで起きるマグニチュード8クラスの巨大地震の一つで、国は、直前に予知できる可能性があるとして、39年前の昭和53年に
「大規模地震対策特別措置法」、いわゆる「大震法」を制定し、予知を前提に防災対策を進めてきました。

この東海地震について、有識者で作る国の検討会は先月、社会活動や経済活動を大幅に規制する「警戒宣言」の発表につながるような確度の
高い予測は「できないのが実情だ」などと指摘しました。

これを受けて国は、予知を前提とした東海地震の情報の発表を取りやめる方針を固めたことが関係者への取材でわかりました。
年内にも南海トラフ全域の地震活動などを評価する情報を新たに作る見込みです。

発表されるケースとしては、例えば南海トラフで、想定される巨大地震よりひとまわり小さい地震が発生した場合などが考えられ、さらに規模の
大きな地震が起きるおそれがないかを評価し、備えを呼びかけるということです。

国は近く、この方針を関係機関に説明したうえで、情報の具体的な内容や発表の方法などについて、さらに検討すると見られます。

「東海地震」は、国が全国で唯一、予知できる可能性があるとしてきた地震で、40年近くにわたって予知を一つの柱に進められてきた防災対策が
大きく転換されることになります。

東海地震の情報とは

東海地震は、国が唯一、地震の直前予知ができる可能性があるとしてきた地震で、地震の前兆とされる現象に応じて3つの段階の情報を発表する
体制をとってきました。

「東海地震に関連する調査情報」、「東海地震注意情報」、それに「東海地震予知情報」で、情報の意味を信号機の色になぞらえた「カラーレベル」でも
表現されています。

このうち、青色の「東海地震に関連する調査情報」は、地殻変動など東海地域の観測データに現れた変化が東海地震と関係あるものかどうか判断
できない場合に発表され、特別な防災対応をとる必要はないとされてきました。

次に、黄色の「東海地震注意情報」は、複数のひずみ計の変化など観測データに異常な現象がとらえられ、東海地震の前兆である可能性が高まった
段階で発表されるものです。この情報が発表された場合、学校から児童や生徒を帰宅させたり、消防などが救助部隊の派遣の準備を行ったりするなどの
対応が行われることになっていました。

さらに、赤色の「東海地震予知情報」は、観測データの異常を専門家で作る判定会が地震の前兆現象だと判定した場合などに政府の「警戒宣言」とともに
発表されます。

この情報と「警戒宣言」が発表されると、鉄道の運行や高速道路の通行が規制されるほか、金融機関やデパートが営業を中止するなど、社会活動や
経済活動が大幅に規制されます。

こうした情報を出すために気象庁は、わずかな地盤の変化を観測できる「ひずみ計」と呼ばれる観測機器を静岡県などの27か所に設置して
24時間体制で監視を続けてきました。